1935年に京都市で創業し、「ムラテック」のブランド名で繊維機械や物流システム、クリーン搬送システム、工作機械、情報機器など、多様な事業を行っている村田機械株式会社。
これまで冊子社内報『Tomorrow』を隔月で発行してきましたが、2023年3月からWeb社内報『Tomorrow Link』もスタートさせ、着実に読者を増やしています。社内報の制作を担当している広報室の鈴鹿蓉子さん、山田幹也さん、加藤麻由香さんにお話を伺いました。
【導入目的】
- コロナ禍にリモートワークが進み、紙媒体だと配布が難しいという背景や環境問題への課題解決
- 業務メニューが中心のイントラネットから、独立したWeb社内報のサイトに移行することで閲覧対象者を拡大したい
- グループ会社や事業部間の連携によってイノベーションのきっかけとなるツールとしてWeb社内報を活用したい
【課題】
- 冊子の社内報は誌面や文字数の制限があり自由度が低く、発行まで時間がかかるため、情報の即時性にも欠ける
- イントラネットは一部のグループ会社は閲覧ができず、また事業部は事業部専用のポータルサイトがあり、情報発信が難しい
- コンテンツを拡充させたい(やわらかい記事の掲載、長文記事、動画など)
【効果】
- グループ会社からの閲覧数が大幅に増えるとともに、投稿数や記事掲載の問い合わせも増加してきた
- 冊子とWebが相互に連携することで閲覧数が増加したうえ、記事制作やコンテンツの自由度が高まった
- 記事を通じて他の事業部やグループ会社に対する関心が高まり、業務連携につながる問い合わせも出てきた
■村田機械株式会社
- 事業内容:ロジスティクスシステム・FAシステム・クリーンFA・工作機械・シートメタル加工機・繊維機械・情報機器などの製造販売
- 従業員数:8,704名(グループ)、4,172名(単独)(2024年4月現在)
- 広報担当者様:広報室 山田 幹也様、鈴鹿 蓉子様、中津 美咲様、加藤 麻由香様
継続していくためにサポート面を最重視
―― Web社内報の導入を検討された経緯を教えてください。
鈴鹿さん:もともとイントラネットに『e-Tomorrow』という社内ニュースのページがありましたが、セキュリティ上の観点から一部グループ会社のスタッフはアクセスできませんでした。その人たちに情報を届けたいということもあり、紙の社内報を隔月で発行してグループ会社や海外拠点に発送していました。
山田さん:グループ会社の人たちが見られることは、当社にとって非常に大切なテーマです。当社には多様なグループ会社や事業部同士がつながりあって、新しい発想やシナジーを生み出し他社との差別化を図る土壌があります。社内報は、そのために必要な情報を共有し、事業部間やグループ会社同士をつなぐきっかけとなるという重要な役割を担っていると考えます。
鈴鹿さん:そんな中でコロナにより、出社して冊子を手に取れない状況となり「PDF化してほしい」という要望が増えてきました。以前から社内報に対して閲覧方法や環境問題の視点から「紙からWebに変えてはどうか」という声がいろいろな部署から寄せられていたこともあり、Web社内報の導入検討を始めました。
山田さん:『e-Tomorrow』は業務関連のトピックが中心で、やわらかめの記事は載せにくい状況だったこともあり、Web化を機にやわらかい話題の記事も掲載していきたいねと広報室で話をしていました。
そこで以上の課題をまとめてWeb社内報の導入を企画・検討しました。冊子は年4回の発行に頻度を落としてWebとの両輪で運用することになり、そこからWeb社内報ツールの選定が始まりました。
―― なぜウィズワークスの社内報アプリを導入されたのでしょうか?
山田さん:とにかくサポート面がよかったんです! 情報機器事業部の販社でさまざまな販促業務に携わった経験から、どんなシステムでも導入後のサポートは必須だと痛感していました。人事異動などで新しい人に業務を引き継いだ場合も、誰かが教えてくれなければスムーズに継続できません。
CMSは運用が簡単だと各社はうたっていますが、実際にはある程度の知識や経験が必要です。だから絶対にサポートは欠かせません。その点、ウィズワークスは最後まで必ずサポートを続けるとアピールしていたのが決め手になりました。
加藤さん:導入検討時に私は入社していなかったのですが、ウィズワークスは長年冊子の社内報に携わってきた歴史があり、システムだけの会社ではなく作り手の気持ちも分かっているという点で、制作面でもいろいろなアドバイスがいただけるという信頼感もあったんじゃないかと思います。
―― 加藤さんは前の会社でも社内報アプリの利用経験がおありだそうですね。
加藤さん:そうなんです。前職でも社内報を担当していて、実はそこでもウィズワークスの社内報アプリの導入に携わっていました。運用が始まり軌道に乗る前に退職してしまったので、やり残した気持ちがありました。当社に転職して再び社内報の担当になり、導入していたのが同じ社内報アプリだったので、巡り合わせに驚きました。
山田さん:ちょうど社内報アプリを導入したところに、社内報アプリ経験者の加藤さんが入ってきてくれたので、そこから加速的に立ち上げることができました。
―― 導入してみて、実際のサポートはいかがでしたか?
山田さん:サポートはやっぱり素晴らしいですね。小さな悩み事にも相談に乗ってくれ、必ず答えてくれる安心感があります。機能面についても現状では使いにくいと感じることはありません。
加藤さん:デザインのテンプレートを編集してもう少しレイアウトにこだわりたい時など技術的に分からないことも、問い合わせるとものすごく丁寧にサポートしてくれます。メールを送ればすぐに返信してもらえるのがいいですね。
鈴鹿さん:システム面以外でも、例えばWeb社内報を浸透させるための策を相談すると他社の事例を紹介してくれて、本当に助かっています。
取材依頼や投稿の問い合わせが大幅にアップ
―― Web社内報『Tomorrow Link』への反響はいかがですか?
鈴鹿さん:冊子が手元になくても、パソコンやスマホで気軽に見られるので、記事を読む機会が増えたとか、とても見やすくなったという感想をよくいただきます。
加藤さん:通勤中や休憩時間に短時間で手軽に読めるし、社内のニュースが分かって良いという、肯定的な感想をよく聞きます。読者の裾野も広がっていて、特にイントラ時代にはWeb記事の閲覧ができなかったグループ会社の方々から、投稿依頼や感想が数多く寄せられています。『Tomorrow Link』が広く情報を発信できる場所として認識してもらえている実感があります。
山田さん:事業部やグループ会社からの記事掲載の依頼はすごく増えましたね。肌感覚で20%くらい上がっているんじゃないでしょうか。イントラネットから、社内報として独立したツールになったことで掲載のハードルが下がっているのだと感じています。「みんなでバーベキューに行ってきたから写真を載せたい」といったやわらかい記事の掲載依頼もたくさん来ています。
鈴鹿さん:社内報アプリを導入して本当に良かったのは、やはり閲覧数やいいねの数が見えるようになったこと。反応があるとうれしいですし、企画立案にも生かせるようになりました。
山田さん:記事ごとにいいねの数が分かるので、広報室だけでなく各部署でも、自分たちで掲載依頼をした記事や自分たちが取り上げられている記事は見ておこうという意識があったり、他の記事と無意識に閲覧数を比較しているように見受けられますね。
―― 『Tomorrow Link』ではどのような記事が人気がありますか?
加藤さん:「事業部長に聞いてみよう」は各事業部のトップが現状や方針を語るので、やはり注目度は高いですね。
鈴鹿さん:各特集も人気ですね。冊子と連動した内容を取り入れたり、動画を掲載するなど工夫したりしています。各部署や社員のプライベートな話題を投稿できる「ホッとLink」は、内容もやわらかめなので、閲覧数の伸びはいいですね。
―― 社内報アプリを導入してから、制作体制や業務に変化はありましたか?
鈴鹿さん:この3名と、産休中のもう1人でWeb社内報を担当していて、Web社内報の企画打ち合わせは1~2週間に1回のペースで行っています。山田と加藤は冊子も担当しているので、その際に冊子の進み具合なども共有しています。
Webページはイントラの時よりも確実に作りやすくなりました。特集記事はテキスト多めですが、マーカーで重要部分を目立たせたり会話形式にしたり、読みやすいデザインが簡単にできます。写真や図なども増やして読者を飽きさせない工夫をしています。
加藤さん:記事が作りやすいのは本当に助かります。定型の記事は一度型を作っておけばコピーするだけで誰でも同じテイストの記事が作れますし、ちょっと凝ったレイアウトにしたい時も、既存のテンプレートを組み合わせて見た目をかっこよくできます。直感的に扱えて、レスポンシブデザインをあまり気にしなくても思い通りのものが作れますね。
山田さん:型が決まればあとは気にせず、記事の作成に集中できるようになりました。記事の本数は多いですが、私たちが取材や資料をもとに一から起こすものは半数以下で、社員の投稿をベースに簡単に記事をアップできることも助かっています。
鈴鹿さん:動画に関しても、以前は社内システムとの兼ね合いで苦労しましたが、今は簡単に記事に埋め込めるからとても楽ですね。
山田さん:社長インタビューなどで動画を活用していますが、やはり写真とテキストよりも内容が伝わりやすいです。テロップも重要な箇所に色をつけたり大きめにしたりと、音声なしでも見て理解できる工夫をしています。
―― 紙の社内報との連動という点ではいかがでしょうか?
加藤さん:冊子と連動した記事も載せやすくなりました。二次元コードを冊子に載せてスマホに誘導するなど、導線をうまく作っています。紙媒体の「決まった文字数に収めなくてはいけない」という固定観念がなくなって、冊子からWebや動画へというように、切り分けと連携がうまくできるようになったのが大きいですね。
山田さん:冊子からWebへ、またその反対……というふうに読者の層を広げたり、発信のエリアを広げるようなこともできて非常にありがたいです。
鈴鹿さん:導入当初から、冊子にもWebの紹介は載せたいよねという話をしていました。冊子には毎号、『Tomorrow Link』の閲覧数ランキングやおすすめ記事などを掲載しています。
あとは過去に冊子で連載した記事のまとめなどをWebでも公開していて、これも社内で喜ばれています。
事業部やグループ会社間の連携強化のきっかけとして
―― グループ内の連携強化という点では変化はありましたか?
鈴鹿さん:以前はグループ会社の方々からは、自分たちに関係ない記事ばっかりと思われがちでしたが、それが変わってきましたね。
山田さん:他の事業部やグループ会社でこんな開発や研究をやっているのかと、お互いに興味や会話が生まれてきています。社内報の記事も、あの人に聞けばこんなことが実現できるんじゃないかというアイデアの元になっています。最近もある新製品を紹介したら、担当者を教えてほしいと他部署から問い合わせがあり、とてもうれしかったですね。
加藤さん:そういった反応があると本当にありがたいです。掲載した情報が社員の皆さんの業務に役立つことがあれば、この記事を作ってよかった! と思いますね。
―― 紙とWebの併用ということで苦労も多いと思いますが、社内報を制作するモチベーションは何ですか?
山田さん:取材では対象者の情熱が感じられたり、いろいろなネタを話してくれる人もいます。それを端的にまとめてみんなにうまく伝えるのがやりがいです。
それで閲覧数が上がったりいいコメントが付いたりすると、「よしよし」と思ったり(笑)。閲覧数やいいねは、作る側にも励みになっています。
加藤さん:私は転職したてなのでまだまだ知らないことも多いのですが、取材を通じて会社の新しい取り組みや技術について知ることができて面白いです。自分が新鮮に感じたその情報を会社のみんなにも伝えたいという思いで記事にしています。それが誰かの興味をひいて、仕事にも生かしてもらえるようなサイトにしていきたいです。
―― 今後やってみたい企画や目標はありますか?
山田さん:海外向けの展開に挑戦していきたいですね。実現するには英語力が課題ですし、海外ではプライベートなことはあまり出したくないという考え方が比較的多く、また文化の違いもあります。世界中のグループの従業員が同じコンテンツを見てシームレスにつながり、共感できることが増えたらいいなと思っています。
鈴鹿さん:ひとまず国内のグループ会社全員が見られるようになったので、そこから何か交流が生まれるような方向に持っていきたいと思っています。Webで記事を閲覧するだけで終わるのではなく、リアルでもつながれるような仕掛けをつくっていきたいと思っています。
―― 社内報のWeb化を検討する会社へメッセージをお願いします。
山田さん:Web化は難しそうという不安や、これまで築いてきた紙の文化を自分が切り崩して良いのかというプレッシャーもあると思います。その意味では、さまざまなノウハウをもつWeb社内報ツールを選ぶのが良いと思います。
加藤さん:最初は勝手が分からずに苦労した部分もありましたが、いざ始めてみると「すきま時間で気軽に見られる」、「冊子の持ち運び不要」などユーザーからのポジティブな声は思ったより多いです。タイムリーで、掲載スペースの制限もなく、発信の仕方の幅が広がりました! 軌道に乗ればプラスしかないですね。
鈴鹿さん:Webか紙かの二者択一じゃなくて、当社のように共存するところから始めてみるのはいかがでしょうか?
―― 本日は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました。