職場での人間関係の悩みは、どこにでも誰にでも付いてまわる問題です。上司や同僚との関係性がうまく築けないこともあれば、部署間での情報共有不足に悩むこともあります。特に新入社員や中途社員であれば、早く職場に慣れたいと思っても、人間関係をなかなか円滑に進められず、戸惑うこともあるでしょう。
職場の人間関係には、個人で対処できる問題もあれば、組織として対策したほうが良い問題もあります。もし社内全体で信頼関係が築けていない場面が多いと感じるようであれば、風通しの良い会社を目指し、企業全体で取り組む必要があるでしょう。
この記事では、職場の人間関係で悩みが生じる理由や、具体的な対応策について紹介します。対応策については、個人と企業、両方向での解決方法をご案内します。今まさに人間関係に悩んでいる方や社内の人間関係を改善したいと考えている人事・経営層の方はぜひ参考にしてみてください。
職場で人間関係の悩みが生じる本質的な原因とは
まずは、私たちが職場の人間関係で悩んでしまう理由を本質的に解説します。
人間関係は「言語+非言語」のコミュニケーションで成立
どこの社会であれ、人間関係の基本は「言語+非言語」のコミュニケーションです。私たちはコミュニケーションをとることで、意識・無意識にかかわらず、常に膨大な情報をやり取りしています。
コミュニケーションには、以下のような一定のサイクルがあります。
- 自分が感じる・考える
- 自分が行動する(言葉を発する、態度や表情に表す)
- 相手が自分の行動(言葉・態度・表情)を受け取る
- 相手が感じる・考える
- 相手が行動する(言葉を発する、態度や表情に表す)
- 自分が相手の行動(言葉・態度・表情)を受け取る
このサイクルが自分の想定通り滞りなくスムーズに回っていると、人間は心地良く感じて、お互いに安心感・信頼感を覚えます。
コミュニケーションのサイクルに滞りがあると負のループにはまる
反対に、コミュニケーションのサイクルが自分の想定とは異なり、思うようにいかないと、私たちは不快感を覚えたり、ストレスを感じたりするようになります。
さらに、コミュニケーションの滞りが一定期間解消されないと、ストレスが蓄積され、自身がトゲのある言葉や表情を発してしまうなど、嫌悪感がにじみがちです。ネガティブな気持ちや感情はどんなに隠しても伝播します。受け取った相手は、少なからず不快感や不信感を覚え、おのずと相応の言葉や態度を返してくることでしょう。
コミュニケーションの滞りを解消し、こうした負のループを断ち切らない限り、私たちは職場の人間関係にいつまでも悩むことになってしまいます。
特に日本人は、欧米人や中国人に比べると、一般的に非言語コミュニケーションの割合が多い傾向にあります。「察する」「空気を読む」などの文化が根強く、言葉の裏を読み取らなければいけない場面に遭遇することも少なくありません。言葉の裏にある意図を読み取れずにコミュニケーションがうまくいかなくなり、負のループに陥る方も少なくありません。
個人で職場の人間関係の悩みに対処する4つの方法
職場の人間関係の悩みに対し、どのように対処すべきかを個人・企業双方の視点で紹介します。
まずは個人で対処する方法を紹介します。組織を動かすのはなかなか難しいけれどどうにか現状打破したい、と考えている方はぜひ参考にしてみてください。
1. 気持ちを切り替える
職場での人間関係の悩みから抜け出すためには、まず自身の気持ちを切り替えてみましょう。
前向きな精神状態がないと、人間関係の悩みを解決するモチベーションを維持できません。「どうして自分が……」というような後ろ向きの気持ちは捨て、前向きな気持ちを持つことで、具体的かつ効果的な思考・行動が可能になります。
単に意識を持ち上げようとするとなかなかうまくいきません。身体の使い方を意識して変え、気持ちが切り替わるきっかけにしましょう。例えば、目線を上げて姿勢を良くする、発声を少し大きめにする、笑顔で機敏に動くようにする、という行動が有効です。他にも、服装・持ち物の雰囲気を変える、好きな音楽を聞く、エクササイズをするなど自身の五感を毎日刺激することも、気持ちの切り替えに効果的です。
2. どうなりたいか・どうしたいか目標を決める
人間関係の悩みから抜け出すためには、抜け出た先で何をしたいのか、どんな自分になりたいのか、自らの気持ちを見極めることが大切になります。
職場での人間関係は、結局のところ業務を成功させるための通過点です。人間関係改善のためにどのように行動すればいいか迷っている方は、「目の前のプロジェクトを成功に導きたい」「ルーチンワークの業務効率を上げたい」といった目標を決めることで、具体的に人間関係のどの部分を改善させたいのかを考えましょう。
目標を決めたらあとは行動あるのみです。もし、目標を達成する上で他部署とのコミュニケーション不足が障壁なのであれば、日頃から相談できるような関係性をつくるために細かい相談をしに行ったり、昼食を一緒に食べたり、と接点を増やして改善するよう働きかけましょう。一緒に仕事をする人とそりが合わないことが課題ならば、なぜ衝突してしまうのかを突き止めましょう。一朝一夕で改善できるものではありませんが、「何もしなければ変わらない」と腹をくくって改善に努めましょう。
3. 自分を高めて実力・自信をつける
自分を高めて実力をつけると、自信が付いて周囲の視線・評価に振り回されなくなるものです。結果的に多くの問題は気にならなくなり、職場での人間関係の悩みも雲散霧消してしまうことが少なくないでしょう。
自信が付くと、気持ちに余裕が生まれ、自分の意見を論理的に話せるようになったり、自分と異なる考え方や意見を受け入れられるようになったりします。堂々とした発言や業務姿勢は周りの人にも影響を及ぼします。一緒に仕事をしている相手が自分の意見を受け入れてくれるようになり、業務を進めやすくなるでしょう。
小さな成功体験を日々着実に積み重ねることから始めましょう。曜日を決めて退社後に資格取得の勉強をする、ジムに寄って筋トレするなどから始めても良いのです。自己評価を上げ、自信を持って仕事に取り組めるようになりましょう。
4. 心を守る「とりで」を確保する
職場の人間関係で悩んだら、信頼でき、心から安らげる「安全地帯」を確保しておきましょう。
話を聞いて応援してくれたり、客観的なアドバイスをくれたりする第三者は、前に進む力を与えてくれるだけでなく、自身の心を守る「とりで」にもなってくれます。具体的には、信頼できる職場の先輩や家族、職場外の先輩・友人、メンターなどが代表的な「とりで」です。
職場での人間関係の悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人間に話をすることは、自身の心のバランスを保つ最善の方法だと言えます。必要に応じて自身の悩みを打ち明け、他者のアドバイスを求めることは、弱さではなく強さです。
企業全体で職場の人間関係の悩みに対処する4つの方法
職場での人間関係の問題は、前述したような個人レベルで対処可能なこともあります。ただ、個人だけでは限界がある場合も多いため、本来は組織全体の問題として対処する方が効果的です。
風通しの良い職場づくりはリーダーとしての務め
誰もが自然体で働ける風通しの良い職場は、人間関係に悩むことが少ない環境です。逆に言えば、常に周りの目をうかがっているようなストレスフルな組織に身を置くほど、人間関係での問題を抱えやすいと言えます。
企業文化や習慣を意識して改善することにより、風通しの良い組織づくりをすることは、職場の管理職・リーダーの本来の務めだとも言えるでしょう。
風通しの良い職場づくりに押さえたい2つのポイント
風通しの良い職場づくりの1つ目のポイントは、若手社員や派遣社員の意見も受け入れられる職場にすることです。
入社年次や雇用形態を問われずに、率直な意見が受け入れられる雰囲気であれば、職場で必要以上の気を遣わずにすむでしょう。自ずと職場での人間関係に悩むことが少なくなります。
リーダーであれば、各人の性別や立場・バックグラウンドに関係なく、職場のためならば対等に意見交換できる雰囲気づくりを心がけましょう。同時に、入社年次や雇用形態には関係なく、実績や貢献が認められやすい企業文化づくりも肝要です。
2つ目のポイントは、上長や先輩・同僚と気軽に会話できる職場にすることです。信頼できる人間関係が職場で構築されていれば、人間関係のトラブルをぐっと減らすことが可能になります。
信頼関係は、お互いの人間性や価値観を理解し、受け入れることによって築き上げられます。そのためには、入社年次や立場にとらわれず気軽に会話し、コミュニケーションをとりやすい空気感が職場に必要です。所属グループのしがらみから離れ、さまざまな立場・バックグラウンドの人間と会話することは、自らの視野を広げて、自分という人間を職場で認知してもらうことにつながります。
風通しの良い環境こそが、信頼関係の醸成に大いに役立つのです。
職場の風通しを良くするためには社内報の活用も有効
社内コミュニケーションに課題を抱え、いまひとつ風通しが良くない職場の場合、社内報の活用も有効な手段になります。
役員や正社員、派遣社員の自己紹介・他己紹介のほか、社内行事やサークルについてのフランクな記事も載せると良いでしょう。新卒・中途入社社員や派遣社員など、会社に新しく入ったばかりでもいち早くスムーズに職場に溶け込むきっかけを提供できます。
また社内報を通じて、若手社員や派遣社員が一目置かれる存在になることもあります。他部局の業務や実態を知ることで、職場をまたいで相談しやすい雰囲気を醸成する効果も見逃せません。
職場の人間関係をスムーズにできる社内報
職場での人間関係に悩む理由や、効果的な対処方法について、具体的に解説してきました。個人での対処も有効ですが、根本的には組織での対策がより効果的です。
とりわけ組織内のコミュニケーションに課題がある場合、社内報を活用して職場での人間関係の改善につなげることも期待できます。ウィズワークスの「社内報アプリ」であれば、PCやスマホなどからいつでもどこでも社内報を見られます。同じ職場で働く同僚や上司の意外な一面や、他部署の業務内容を知ることで、コミュニケーションのきっかけを掴みやすくなるでしょう。
もし職場全体の人間関係を改善させたいと考えている場合はぜひ社内報を検討してみてください。