会社の事業が拡大し全国に拠点が増えるほど、会社全体の取り組みや業績、社員に対する思いが各拠点に届きにくくなります。その結果、現場社員は自部署の業績状況や職場の雰囲気だけで「うちの会社はだめなんじゃないか」と判断してしまい、エンゲージメントの低下や離職につながる可能性もあります。
社内報は、本社と現場をつなぐ重要な社内コミュニケーションツールです。しかし「そもそも現場で社内報が読まれていない」という企業もあるはず。今回はWebやアプリの社内報を使って「社内報を読んでもらう」第一歩を乗り越える方法、さらに、社員に届けたい情報を効果的に発信するポイントを紹介します。
目次
大企業であるほど「経営方針の周知徹底」に課題
ウィズワークスが隔年で実施している「全国社内報実態調査」の報告書『社内報白書2018』によると、企業が広報活動で最も重点を置いている目的として「コミュニケーションの活性化」「経営理念・ビジョンの浸透」「社内(グループ内)の一体感の醸成」が上位を占めました。
従業員数別では、企業規模が大きくなるほど「経営理念・ビジョンの浸透」のポイントが上昇。大企業であるほど、経営理念を現場に浸透しきれていないことを課題とし、積極的に広報活動をしていることが分かります。
経営理念を浸透させる方法については、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。
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社内広報の手段と特徴
紙社内報で6割、Web社内報で8割が「閲覧率が低い」
社内報を使って会社の情報を全国の拠点に浸透させるために、まず「社内報を読んでもらう」というハードルをクリアしなければいけません。『社内報白書2018』でも紙の社内報で59.7%、Webの社内報で79.6%の企業が「全体的に閲覧率・到達率を上げたい」と回答し、社内報を読んでもらえない課題感を持っています。
特に、全国に拠点が点在する企業では、
- 全社員へは冊子を配布していない
- Web社内報はあるが、閲覧できるのはイントラに入れる社員のみ
- 製造・流通・販売などの現場社員にはパソコンを貸与していない
という状況にあるケースも多く、すべての現場に情報を届ける仕組みを整備しきれていない様子がえます。
一方、全社員に紙やWebの社内報が届いている企業でも、
- 業務が多忙過ぎて、なかなか読む時間を確保できない
- 社内報を読んでいると、周りから暇なのかと思われそう
という理由で、現場社員が社内報をなかなか読んでくれないと悩む社内報担当者もいます。
社内報が「社員が読みたくなる情報量とツール」になっているか見直す
会社の情報を周知させたくても、そもそも社内報が読まれていない。そんな課題を解決するためには、社内報が読まれない理由に合わせた改善策を講じる必要があります。
①忙しくて読めないならば、記事の情報量を見直す
そもそも社員が忙しくて読めない状況であれば、何分程度で読める記事ならいいのか、どのくらいのボリュームが適正なのか、ヒアリングするところから考えるべきです。社内報に適した情報量を見定めた上で、社内報の企画内容やデザイン性を見直して、読みたくなる工夫を考えてみましょう。
②どのタイミングなら社内報を読みやすいのか考える
例えば営業職ならば、電車移動中などの隙間時間にスマートフォンを手にする人は多いでしょう。職場で社内報を読みにくい雰囲気であっても、移動時間ならばじっくり読んでもらえる可能性があります。
③全社員に届けられる環境がないならば、「全員が必ず持っているツール」に切り替える
一人1台パソコンが貸与されていない職場でも、ほとんどの社員は自分のスマートフォンは持っているはずです。スマートフォンやタブレット対応のアプリ社内報ならば、移動中や休憩時間でも簡単に読むことができます。工場や店舗で働く社員に対しても、速報性において置き去りにすることなく、会社の情報を届けられます。
ただし、アプリはまずダウンロードしてもらうことが必要です。朝礼や終礼など全員が集まる場で声を掛けるなど、自社に合ったダウンロード促進施策を練るべきです。
また、アプリを導入した直後だけではなく、継続してアプリの閲覧を呼び掛けることも重要なポイントです。隙間時間に見られる便利なアプリを導入しても、継続的に読んでもらえなければ情報が届かず、エンゲージメントの低下を防ぐために始めたはずの施策が、無意味になってしまいます。
自社の課題と社内報のコンセプトを明確にする
社内報を読んでもらう第一歩を乗り越えたら、次に取り組むべき施策は「コンテンツの充実」です。デザインの自由度の高い紙の社内報に比べて、Webやアプリの社内報は記事のデザインがどれも比較的似た作りになりやすい傾向があります。企画の内容でどれだけ現場社員を引き付けられるか、工夫が必要です。
まずは「ぶれないコンセプト」を設定しましょう。
【コンセプトの設定→発信情報へ】
考察
現場社員のエンゲージメントが高まらない理由は?
- 理由①:・・・・・・・・・
- 理由②:・・・・・・・・・
⇓
これらを解決に導けるとしたらどんなコンセプトか(仮説)
⇓
このコンセプトの下で、社員に働きかける(伝える)べき情報とは
このように整理して明確にすることで、発信する情報の質が変わり、現場社員への浸透度も高まります。
コンセプトに合った企画を考える
多くの場合、社内報のコンセプトは「コミュニケーションツール」、もしくは「経営理念や行動指針を浸透させるツール」に設定されます。それぞれのコンセプトに合った企画案も紹介します。
コミュニケーションツール
拠点紹介、現場で働く社員インタビュー
各拠点のマネジャーらの協力を得て、読者ターゲットである「各拠点」「現場社員」を主役にした企画を作ります。各職場の様子や社員の仕事に対する思いが見える記事にできると、現場目線の新しい発見が生まれます。仕事のみならず趣味などの紹介を加えることでコミュニケーション活性化も期待できます。頑張っているけどなかなか光が当たらない、そんな方を推薦してもらうのもいいかもしれません。
そのほか、「投稿者が次の投稿者を決めて、質問を投げかける→次の投稿者がその質問に答える」といったリレー形式の連載企画もコミュニケーションを促進できます。
社長や経営陣が自分の考えや社員への思いを発信するブログ
経営方針や決算など硬い印象の話ではなく、トップがどんな思いで働き、現場社員に何を感じているのかを語るブログのような企画です。趣味や家庭、交友関係、故郷の話題など、人柄が見える記事も効果的です。
社長に限らず、部門長・部長など経営層からも現場からも近い方に、思いを発信していただくのも効果的です。
経営理念や行動指針を浸透させるツール
クレドやミッション紹介
経営者や部門長が、自社のクレドやミッションを紹介する記事。業績や今後の経営方針まで説明できると、現場社員の安心感が高まりますが、難しい解説にならないようにイラストや短い動画を差し込むといった工夫も必要です。
経営理念を体現している現場社員を巻き込む
経営理念を理解して行動している社員に、編集委員として参画してもらい体現している行動について発信してもらう。現場に近くなればなるほどトップダウン感がなくなり、現場社員の関心や納得感が高まります。
仕事の効率を高めるICTツールの使い方
生産性向上やスピード感に課題感を覚えている会社では、効率的に仕事を進めるために知っておきたいツールの活用術を紹介する記事もいいかもしれません。
上記はあくまで一例ですが、コンセプトからずれない企画を展開していくことが重要です。
自社の課題感に合ったツールで、課題解決につながる記事を作る
全国の拠点まで会社の情報を届けるには、どの現場の社員でも持ち運びやすい身近なツールを使い、担当者が根気強く閲覧の呼びかけを行うこと。社内報で解決したい会社のを明確にし、コンテンツを作ることが大切です。
ウィズワークスの「社内報アプリ」はWebとアプリ一体型の社内報ツールです。社員は、隙間時間にスマートフォンのホーム画面から手軽に社内報にアクセスし、社内報担当者は、アプリが立ち上がっていなくても記事更新をお知らせできる「プッシュ通知」機能で、現場社員に読んでほしい記事の閲覧率を高められます。
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