トヨタグループ主要13社の一角を占め、ステアリングシステム、軸受、駆動部品、工作機械、電子制御機器などの製造・販売を行うジェイテクト。国内外の約5万人の従業員にタイムリーな情報を展開できるように、2022年9月に社内報アプリを導入しました。社内外のコミュニケーションを促進する社内報を目指し、その布石となるさまざまな取り組みを果敢に行う、経営企画部経営企画室広報グループの山田美欧子さん(集合写真右から2人目)にお話を伺いました。
【導入目的】
- PDF版社内報に代わる社内報ツールとしてグループ内広報に活用
- 国内外の従業員に会社からのメッセージを浸透させて一体感を高める
- 社外向けにも情報発信できるツールを目指す
【課題】
- PDF版社内報では、Webでの閲覧に適したレイアウトを作るのに工数がかかる
- タイムリーな情報発信と更新通知を可能にしたい
- 会社PCを持たない約6割の従業員もアクセスしやすい環境にする
- グローバル拠点向けに多言語対応が必要
【効果】
- 導入数カ月で閲覧数が向上し、スマホからのアクセスも大きく増加
- 取材や記事の作成を通じて社内の他部門との協力関係が緊密に
- グループ連携が進み共同で改善活動や新製品開発を行うケースも
■株式会社ジェイテクト
- 事業内容:ステアリングシステム、軸受、駆動部品、工作機械、電子制御機器などの製造・販売
- 従業員数:連結47,167人、単独11,665人(2022年3月現在)
- 広報担当者:5人
製造現場や海外拠点にも届きやすく、読まれやすい社内報ツールを検討
―― 社内報アプリを導入する以前はどのような形で社内報を発行し、なぜ社内報アプリを検討したのでしょうか?
山田さん:以前は紙の社内報を毎月発行していましたが、2019年からは紙で発行したものをPDF化して、紙とWebで見られるようにしました。
コロナ禍以降は紙の発行を取り止めて、PDF版に絞って隔月で発行を始めました。ただ、自分からPDF版の社内報にアクセスする人は多くはなく、閲覧数が伸び悩みました。PDF自体も20ページにおよぶボリュームなので仕事の隙間時間に読むのが難しく、読者への負担が大きかったと思います。
また、弊社は製造現場の従業員は社用PCを持たないケースが多いので、個人スマホでも読みやすいレイアウト・アクセスしやすいツールであるWeb社内報の検討をし始めたのです。
―― どのような条件で新しいツールを検討していましたか?その中で社内報アプリを選択した決め手は何だったのでしょうか?
山田さん:絶対に外せない機能は、記事ごとに閲覧可能なユーザーを分ける設定ができることでした。というのも、トヨタグループ各社やお取引先様、そしてジェイテクトを知らない方々にも弊社について知っていただけるように、一部を公開したいと考えていたからです。
もう一つは多言語対応ができることです。グループ全体で従業員が約5万人在籍し、約6割が海外人材であるため欠かせない機能の一つでした。
Web社内報ツールをリサーチして、比較検討した中から6社ほどをピックアップして、コンペを実施しました。「社内報アプリ」は弊社が想定していた機能を全て備えていた点はもちろん、管理画面の使いやすさも好印象でした。
ウィズワークスさんを選ぶ決め手となったのは、アプリという箱を用意して終わりではなく、パートナーとして一緒に社内報を作り上げていく姿勢が感じられたことです。弊社の社内報を読み込み、私たちが目指したい社内報をよく理解した上で提案があったのを、心強く感じました。
社内報アワードの運営もしていて、社内報に関するノウハウや事例が豊富なことも、頼れる点だと考えています。
―― 実際に運用にいたるまでのプロセスで、大変だった点はありましたか?
山田さん:上司以外のメンバーはWebの知識がほとんどなく、導入するにあたっては操作に戸惑いもありました。ですが、分からないことや困りごとがあればすぐにサポートが受けられたので、慣れるまでにはそれほど時間はかからなかったと思います。
作業時間が減った分だけ、企画を考えることに時間を使うことができました。とにかく実現したい企画がたくさんあり、例えば動画を埋め込むといった、Web社内報だからこそできる企画をどんどん形にしていきました。現在はほぼ毎日記事を更新しています。
アクセス数がアップし、記事作成でも社内での連携が強まる
―― 社内報アプリを導入し、社内の反響はいかがでしたか?
山田さん:「ガラっと変わったね」という驚きの声が多かったですね。特にうれしかったのは、周りの人にアプリの使い方を教えてくれる社員や、社内報に仲間の社員が登場したのを部署内に広めるメールを出してくれる社員が、たくさん現れたことです。
寄稿していただいた部署の方々が、関係する工場や部署の方にメールでお知らせすることもあり、社内報の認知度アップにつながっています。「社内報アプリを見たよ」とか、「インストールしたいからやり方を教えてほしい」という方も数多くいて、たくさんの方に興味を持っていただけている手応えがあります。
また、記事に対するコメントにリプライが連続して付くという形で、拠点が違い普段は話すこともないような従業員の間でコミュニケーションが生まれるようになったのは、社内報アプリ導入の大きなメリットだと感じています。
―― ユニークユーザー数に関してはどのような状況ですか?
山田さん:導入後、アクセスが伸び悩んだ時期もありましたが、レイアウトや色使いを変えてみたり動画を増やしたり、気付いたことはどんどん改善していきました。社長の年頭メッセージ動画を社内報限定で掲載したことで数字が伸び、ユニークユーザーが一気に2000人以上増えました。
また、ウィズワークスの方から「アクセスが集まる時間帯が他の会社と違っている」というフィードバックを受け、間接部門の社員が勤務中に読むケースが多いことが分かりました。そこで、更新時のプッシュ通知を通勤時間に実施したことで、勤務時間中にスマホを見られない製造現場の皆さんが、通勤途中などで読んでくれやすくなったと思います。
最近はパソコンよりもスマホからのアクセスが増えてきました。ただ、総従業員数から見るとアクセス数はまだ少ないので、今後もいろいろな対策を打っていきたいと思っています。
―― 人気の企画を教えてください。
山田さん:社員のプライベートを紹介する「読みニケーション」は、毎回アクセス数が多くなっています。社員の顔が見える企画はやはり人気ですね。
―― 他にもハイペースで記事を更新していますが、社内報チームだけで記事を作成しているのでしょうか?
山田さん:やはり、他部門の協力があって成り立つ部分も多いです。例えば製造現場の安全管理に関する記事や、職場の風土改革に取り組んでいる部署を紹介する記事など、社内報アプリの導入後にスタートした企画があります。それぞれ担当部署が原稿を提供してくれています。
社内報アプリは企画に合ったテンプレートを活用して、最適なボリュームでタイムリーに掲載できるメリットがあります。企画面や掲載面でのやり取りも増えて、部署同士の連携がかなり密になってきました。他にも、これまで社内報への投稿依頼がなかった部署から「これを社内報に載せられますか」と相談が来ることが増えました。
また、弊社はスポーツがとても盛んで、社員がオリンピックなどの世界大会に出場することもあります。そこで、各スポーツチームの担当者に依頼して試合の速報記事を作成したり、ジェイテクト公式YouTube動画を記事に埋め込んで発信したりしています。最初は操作に慣れない面もあったと思いますが、マニュアルを作成してレクチャーして回ったことで、協力が得られやすかったと思います。
グループ内企業の交流も活性化。より「顔の見える」社内報へ
―― グループ報という点では、社内報アプリの導入効果を感じることはありますか?
山田さん:これまで製品ごとに分かれていた事業ブランドを「JTEKT」に統一したのをきっかけに、グループ連携にも取り組んでいます。
ジェイテクトグループの国内関係会社紹介として、事業内容をみんなに知ってもらい一体感を醸成する取り組みもしています。動画で自社のアピールポイントを紹介してもらう企画で、各社さんに会社紹介動画を作成していただきました。それぞれが持つ高度な技術力をお互いに知ることで、新しい発想につなげるための取り組みですが、すでに複数社が集まって改善活動や新製品づくりを始めています。
特に、弊社では国内関係会社と協力しながらさまざまな展示会に出展しているのですが、出展ブースを見に行くことができない社員にも展示会気分を味わってもらいながら、会社の活動および新商品について知ってもらおうと考え、出展対応した部署の皆さんのお仕事ぶりを紹介する記事も掲載しています。
―― 社内報に関してさまざまな打ち手を試し、PDCAを回している印象があります。そうした会社はそれほど多くはなく、御社の大きな強みではないでしょうか。
山田さん:「できることは何でもやろう」というのが社内報チームのモットーなんです。2週間に1回のミーティングでざっくばらんに意見交換をし、その場で出たアイデアをどんどん形にしています。ウィズワークスの方からのアドバイスを基に「これをジェイテクトでやるなら、どんな風にやってみようか」と相談し、新しい企画が生まれたこともありました。ユニークユーザー数も伸びていますし、きちんと数字につながっていると思います。
―― これからチャレンジしてみたいことや、今後の目標をお聞かせください。
山田さん:「顔の見える編集部」づくりに挑戦中です。社内報担当者がどんな人物なのか知っていただいた方が、社内報に興味を持ってもらいやすいと思います。
フォームの活用という点では、社内報への率直な感想を集められるようなアンケート、読者参加型の企画なども実現したいですね。それによって、もっと読者の声を反映できる社内報にしていきたいです。
今後は社内報を充実したオウンドメディアとして育てていきたいとも考えています。社内報の記事には会社に関するより詳しい情報が満載です。閲覧対象グループ管理機能を活用して、お取引先様などにもご覧いただいて、弊社への理解を深めていただけるようなものにしていきたいですね。
―― ありがとうございました。