1957年の創業以来、日本の経営コンサルティングのパイオニアとして数多くの企業を支援してきた株式会社タナベコンサルティンググループ。全国に10の事業所を展開する同社では、2022年5月に社内報アプリを導入し、Web社内報「Connect! ここからつなぐストーリー」を創刊。「伝えたい」と「知りたい」がつながる、情報発信のプラットフォームへと進化させ続けています。コーポレート本部 経営企画部 コーポレートコミュニケーションの皆様にお話を伺いました。
【導入目的】
- 社内コミュニケーションを活性化させるカジュアルなツールとする
- 仕事に役立つ情報を提供し、従業員のエンゲージメントを高める
- グループ共通のプラットフォームにする
【課題】
- 従業員が全国10事業所に点在し、コミュニケーションの機会が少ない
- M&Aでグループ会社が増加、全グループ社員が見られるツールが必要
- カジュアルコミュニケーションツールがない
【効果】
- 社内報の記事が、ふだん会わない人とのコミュニケーションのきっかけに
- 通年採用をしており、新入社員が「自分をアピール」する場として活用
- 閲覧率などを分析し、低い部署には取材を依頼するなどの改善策を実施
- 「何か伝えたい時には社内報アプリで」と情報発信のプラットフォームとして浸透
■株式会社タナベコンサルティンググループ
- 事業内容:経営コンサルティング事業
- 総人員数:606人(グループ全体) ※2023年2月1日現在
- 広報担当者様:コーポレート本部 経営企画部 コーポレートコミュニケーション 清水倫奈様、田内友理様、伊賀みなみ様
目次
「人が見えるツールがほしい」と、社内報創刊に合わせて「社内報アプリ」を導入
――社内報アプリを導入することになった経緯をお聞かせください。
清水さん:弊社は北海道から沖縄まで全国に10事業所を展開し、グループ全体では約600人が働いています。従業員数に比べて事業所が多いことと、コロナ禍の影響もあり、どこにどんな人がいて、どんな仕事をしているのかが分かりづらくなっていました。グループウェアなどの情報共有ツールはありましたが、カジュアルなコミュニケーションツールはなく、「人が見えるツールがほしい」と思ったことがきっかけです。
さらに、M&Aでグループ会社が増えたことで、これらのニーズがより顕在化したと思います。今後、グループ共通のプラットフォームが必要になる。それならWeb社内報がいいのではないかと、検討することになりました。
――サービスを検討する上で外せなかったこと、「社内報アプリ」に決めたポイントを教えてください。
清水さん:グループ会社全員が見られるサービスであることと、私たちはシステム部門ではないので直感的なユーザーインターフェースであることが大切でした。「社内報アプリ」はそうした条件をクリアしていた上に、トップ画面のデザインも見やすく、記事のテンプレートが非常に豊富で、記事を作るときの文字囲み、マーカーといった機能まで充実しているところに惹かれました。
また、「効果測定ができてこそのWeb社内報」だと思っていたので、ID ・パスワードが個人ごとに保有できて、閲覧の分析ができることは魅力的でした。
ウィズワークスの担当者が導入前から丁寧にサポートをしてくれたこともポイントでした。追加でコンサルティング料を払っているわけでもないのに、こんなにもアドバイスをいただいていいものか、と。現在も社内で心配する声が上がるほど相談に乗ってもらえます(笑)。結果、5社ほど検討させていただいた中から、2022年2月「社内報アプリ」の導入を決定し、5月にオープンしました。
――初めて社内報を創刊されたわけですが、どのように進めていかれたのでしょう。
清水さん:経営企画、総務、人事、広報、デザイナーなど、コミュニケーション周りの社員による社内横断のチームで、まずは社内報に求めることをヒアリング。それを参考に練り上げた企画書を経営層にプレゼンし、無事に承認されました。
目指したのは、社内のコミュニケーション活性化につながるカジュアルな記事と、従業員のエンゲージメントを高める、仕事に役立つ記事の2つを両立して発信できるプラットフォームです。
現在、記事の執筆は自分たちだけではなく、コーナーごとに担当がついているのですが、「この内容だったら、この部署のこの人かな」と依頼してチームに参加してもらっています。通年採用をしているので「新入社員紹介」という定例の企画は人事部に。ダイバーシティー&インクルージョンのニュースは、総務部のダイバーシティー&インクルージョン担当者にお任せしているといった感じです。
――社員への浸透や理解促進において、ご苦労はありましたか?
伊賀さん:これまでは硬めの情報発信ツールしかなかったところに、カジュアルなツールができたので読者も戸惑ったと思います。いかに社内報の目的や役割を啓蒙していくか。スタート時の見えない苦労はありました。
田内さん:特に多忙なコンサルタントの皆さんにコミュニケーション系の企画が受け入れてもらえるのか、依頼をしても記事を書いてもらえるだろうかと不安でした。ですが、その不安は最初だけでした。
「TCG社員×好きなもの紹介」(以下、好きなもの紹介)は、社員自身の好きなものを自由に語っていただく企画です。まずは私たち運営側で順番に担当し、徐々に部署や事業所を越えて依頼先を広げていったところ、閲覧数の高い人気企画になりました。今では中途入社の人から「自己PRをしたいから、好きなもの紹介に出してほしい!」と言われることもあり、皆さんに快く対応していただいています。
社内報をきっかけに、普段会えない人とのコミュニケーションが活性化
――社内報アプリ導入後、社内のコミュニケーションが変わってきた感覚はありますか?
清水さん:社内報に載った社員から、「いろいろな人に話し掛けられます。社内報ってすごいですね」とのうれしい声をいただきました。
また、弊社のコンサルティングスタイルは、いろいろな部門や事業所からスペシャリストが集まって、チームで案件に当たることが特徴です。そんなときも、「好きなもの紹介」に登場していたことから、ふだん会わない人に「漫画好きなんですね!」と声を掛けられて、会話が始まるきっかけになったという話も聞きました。まだ道半ばですが、コミュニケーションでの効果が少しずつ出ていると思っています。
――他にも人気の企画などがあれば教えてください。
伊賀さん:チームコンサルティングをするからこそ、多忙なコンサルタントにお互いを知ってもらう機会になればと「社内講師オーディション 合格者インタビュー」という企画を立ち上げました。
弊社のコンサルタントは、コンサルティングの現場にいったり、セミナーの講師などをする前に社内のオーディションに合格しなければなりません。オーディションを受けるのはだいたい入社1〜2カ月の人たちです。そういった方にフォーカスし、強みや得意な領域、加えて趣味なども紹介させてもらう企画なので、「自分をアピールできる」と歓迎してもらえているようです。
清水さん:社員のオフィスカジュアルな着こなしを写真で紹介した企画も好評でした。これは、ダイバーシティー&インクルージョンの一環としてオフィスカジュアルなスタイルをTPOに応じて常時選択できる制度が新しくできたことがきっかけです。
この制度を広めるために担当社員が社内を駆け回って「写真を撮らせてください!」と若手から役員まで幅広く、大勢のオフィスカジュアルな着こなしを写真に撮って紹介しました。私自身も記事に掲載されたさまざまな写真に背中を押されてオフィスカジュアルデビューした一人です。自分たちで作った制度を自分たちで広げられている素敵な形だなぁと感じました。
清水さん:「社内報を使ってこのニュースを発信したい」などと言ってもらえることも増えています。「何か情報を伝えたいときには社内報アプリで」との認知が広がって、目標にしていた情報発信のプラットフォームとして浸透してきているようです。
効果測定は部署別に分析。閲覧率の低い部署にはあえて記事の執筆を依頼
――効果測定はどのように活用されているのでしょうか。
清水さん:ウィズワークスさんのご協力のもと、毎月分析ツールを使ってレポートを作成し、毎月開催している運営チームの定例会で共有しています。部署別の閲覧率などを見て、低い部署にはあえて取材を依頼するなど、同じ部署の人や話題が載ることで興味を持ってもらえるような対策を考えています。
――閲覧数を上げるために取り組んでいることはありますか?
清水さん:読みやすいタイトルの文字数、キャッチーな言葉選び、文字ばかりのサムネイルにしないなど、ウィズワークスさんとのMTGで得たアドバイスを取り入れ、メンバー全員でブラッシュアップし続けています。
また、いつでも使える写真やイラスト素材を持っていたほうがいいと聞き、写真素材提供サイトと契約。必要なときに自由にダウンロードして使ってもらえるようにしました。
田内さん:デザインもワンパターンにならないよう、イラストや写真などを毎回変えて、読みたくなるようなサムネイルにしています。「社内報アプリ」のテンプレートは本当に豊富で、色も多彩です。イメージと合ったデザインがしやすいアプリなので助かっています。
清水さん:他にも、オンライン開催だった全社研修会の休憩中に、社内報のCMを作って流しました。知ってもらうことさえできれば、もっともっと見てもらえるのではないかと思っています。
――最後に、今後の抱負を教えてください。
清水さん:まずはログイン率を現在の75パーセントから100パーセントに近づけていくことが目標です。そして、当初の目的であったグループ全体のプラットフォームにするべく、グループ広報としての社内体制を構築し、グループ社内報へとステップアップさせていきたい。その時にはグループ会社にも執筆担当を置き、グループ報としてますます盛り上げていきたいです。
伊賀さん:ビジネス軸の記事も増やして、もっと活用していただけるようにしていきたいですね。そのためには情報の仕分けも必要です。例えば新商品が出た時、今はイントラでお知らせして、開発の裏話などを社内報に載せています。あらためて社内情報発信ツールの役割や目的を明確にし、それでいいかの検討も含めて、情報の幅を広げられるよう、取り組んでいきます。
田内さん:情報を発信する側からだけでなく、受け取り側の「こういうことが知りたい」という気持ちにももっと耳を傾けて、どちらの想いもつながるコミュニケーションの場にしていけたらと考えています。カジュアルな場として、「発信したいな」「知りたいな」と思ってもらえる社内報にしていきたいです。
――ありがとうございました。