1948年に設立し、高圧受電設備・分電盤などの電設資材や、情報通信関連資材といった幅広い分野の製品を製造・販売する日東工業株式会社。愛知県長久手市を本社に、全国各地に営業所や工場を展開しています。
そんな同社ではパソコンを持たない生産現場などの社員にも平等に迅速に情報を伝えられるツールが必要と考え、2023年1月に社内報アプリを導入。会社や他部署の取り組みなどを共有できることで、一体感の醸成にも寄与しています。広報室の担当者のお二人に、導入効果などについて伺いました。
【導入目的】
- パソコンのない生産現場も含めて、全国一律に情報が届けられる場をつくる
- 社内に何かを発信したいときに誰もが簡単に利用できるツールを整備する
【課題】
- パソコンのない社員はイントラを見ることができず、情報伝達に不公平感
- 何か伝えたいことがあったときにどこで発信していいか分からない
- 紙の社内報は隔月発行のため、即時性の高い情報発信に不向き
【効果】
- 地域差、時間差なく情報を共有できることで社内の一体感が向上
- アンケートなどもアプリ上で気軽に実施。紙削減、業務効率化に貢献
- 社内報アプリを通して、社員に広報の活動が認知されるように
- 「社内報アプリに載せたい」といろいろな部署から声が掛かり、コミュニケーションが活性化
■日東工業株式会社
- 主な事業内容:電気機械器具製造・販売
- 従業員数:単体2,148名(2023年3月末現在)
- 広報担当者様:広報室 福岡雅美様、南川翼様
目次
「パソコンを持たない生産現場などの社員にも平等に情報を届けたい」と導入を検討
―― Web(アプリ)社内報導入の経緯からお聞かせください。
福岡さん:弊社は製造業なので、工場などの現場社員はパソコンを持たず、イントラの掲示板を見ることができない社員も多くいます。紙の社内報が全社員へ届く唯一の情報発信ツールですが、隔月発行なのでスピーディーな情報発信は難しくなります。
たとえば協賛しているイベントの招待券を社員にプレゼントしようとしても、期日が迫っているものは紙の社内報で募集していては間に合わず、情報の入手方法について不公平感が生まれることがありました。
そこから「みんなに一律に情報を発信できる場があったらいいよね」と考え、2020年4月ごろからWeb(アプリ)社内報の導入を検討し始めました。
―― 検討時に重視された項目と、「社内報アプリ」に決めたポイントは何だったのでしょうか。
福岡さん:載せやすい、見やすい、使い勝手がいい。他には承認機能があること、動画が載せられること、などです。何より、みんなが持っているスマホで見れることは大前提でした。
また、初めてのことなので使いこなせない場合も考えて費用感も重視しました。そんな使いやすさと費用のバランスから、社内報アプリに決定。ウィズワークスの方がサポートについてくれて、すぐ質問に答えてもらえる体制があるのも心強かったです。
―― 社内報アプリ導入にあたって苦労されたことはありますか?
南川さん:個人のスマホにアプリを入れることに対するセキュリティ面は課題になりました。会社として前例がなかったので「便利なのは分かるけれど……」と。
福岡さん:最終的に、情報システムの担当者に納得してもらい、社内調整することができました。ただ、今のところ掲載するコンテンツは厳選し、セキュリティ上問題ない内容だけにしています。
南川さん:システムのセキュリティが不安ということではなく、家族と一緒に見ることも想定していますし、万が一、スマホを落としても大丈夫なよう、社外の人が目にしても問題ない情報だけにしています。
―― 構成や運営においてこだわったこと、大変だったことは?
南川さん:記事のカテゴリ分けや、機能の使い方については、かなり考えました。ウィズワークスの方に他社事例などを見せてもらい参考にしました。
福岡さん:見たい、見やすいと思ってもらえるサイトにしたいという思いがあったので、タグの分類もすごく考えました。今はある程度、記事のテーマを絞っているので落ち着いていますが、載せる情報の幅を広げていったときに、また検討が必要になると思います。
南川さん:他の業務もあり、負担を考えると、私たちが全部書いて載せるのかどうかも考えました。「決まった内容を定期的に上げる部署には、記事作成から承認まで部署内で完結してもらってもいいのではないか」と。ここは今でも迷っているところです。
福岡さん:現在は「書ける人には書いてもらって、慣れてくれば承認まで任せます」との形でやっていますが、載せたい人は「伝えたい」思いが強いので長い文章となりがちです。でも、読む側からすればそんなにたくさん読むのはつらい。そこは間に入って調整する必要があると思っています。
アプリ限定のプレゼント企画や通信教育の申込ページで、ユーザー数上昇
―― 社員の皆さんの反応はいかがですか? また、ユーザー数を伸ばすために工夫されたことも教えてください。
南川さん:当初、社内報アプリを浸透させるのは大変でした。イントラや紙の掲示板でお知らせしたり、口コミで広めたりしました。
今は、普段パソコンを見ることができない工場の社員からも「社内報アプリになって見やすくなりました」「情報が見られるようになってよかったです」といったコメントの書き込みがあります。
福岡さん:一気にユーザー数を伸ばすことができたのは、社内報アプリからしか応募できない、限定プレゼントの募集を実施したことがきっかけです。
また人事部門の協力もあり、社内の通信教育の申し込み方法を、社内報アプリに限定してくれました。社内報アプリ経由にすれば、紙の申込用紙の発送や回収といった手間も減らせますし、紙の削減にもつながり、人事部門としてもランニングコスト以上の業務の効率化につなげることができてよかったのだと思います。
―― どのような記事が社員の方に好評ですか?
福岡さん:意外にも、定番の月間MVP受賞者発表の記事です。紙の社内報では2カ月に1回の掲載でタイムリーではなかったこともあり、社内報アプリに載せると驚くほど閲覧率が高かったんです。
南川さん:やはり身近な社員が出ていると、その部署内で話題になって見てくれるのだと思います。
福岡さん:社員が登場する、各地の工場のテレビCM動画も好評でした。また、社長のメッセージ動画も、今まではなかなか見てもらえる機会がなかったのですが、社内報アプリだと自由に閲覧できるので、以前よりも見てもらえています。
南川さん:新しいユニフォーム発表の記事も閲覧率が高かったです。新ユニフォームを作るにあたっては、最終候補3案まで絞って、そこから社内投票で決めたのですが、このアンケートも社内報アプリ内にGoogleフォームのリンクを貼って回答してもらいました。
福岡さん:今まではアンケートを取るのも大変でした。パソコンがない生産現場などの社員には、アンケート用紙を配布、回収、入力、集計する作業が必要でした。社内報アプリができてからは気軽にできるようになりました。
情報が平等に伝わることで、会社と社員、社員と社員との距離感がぐっと近く
―― 導入後、社内のコミュニケーションに変化はありましたか?
福岡さん:以前は、情報が平等に届かないことで疎外感を抱く社員もいたかもしれませんが、今は同じ情報を共有していることをきっかけに、工場と本社の人との間に交流も生まれています。
また、紙の社内報に載せるまでではないような、ちょっとしたニュースも社内報アプリには簡単に載せられます。「うちの会社、こういうこともやっているんだね」と社員に関心を持ってもらえることが増えて、一体感も高まっていると思います。
―― 今後の課題や、やってみたいことを教えてください。
福岡さん:やはり閲覧者率アップは課題ですね。100%の社員が閲覧しているのであれば、ここで発信したことで「全員に発信しています」といえますが、閲覧者率50%ではそうはいえません。みんなが見たいと思えるものにしていきたいと思います。
ただ、紙の社内報は配った時点で100%としていますが、実際は見ていない人もいるかもしれません。その点、社内報アプリはどれくらい見ているか、何の記事がよく読まれているかまで数値化できるので、対策も考えていきやすいです。
南川さん:毎週アクセスログを確認していますが、「プッシュ通知が届いたタイミングで見ている人が多いな」「工場の社員の方が休憩時間などの決まった時間に見ているな」「イントラでアプリの告知したとたん閲覧数が増えたときには、パソコンを使っている人が見ているんだな」といった発見があります。
今後は、紙の社内報に簡易的に載せた記事に、「詳しくは社内報アプリへ」というような連動性を持たせてもよいかと思っています。
福岡さん:次のステップとしては、いろいろな部署から情報発信をしていけるようにしたいです。そして、将来的にはグループ会社にも広げていけたらと思います。会社によっては広報の専門部署がないところもあるので、負担にならないように考える必要があります。
目指すは、休憩時間になったらみんなが無意識に開いてしまうような社内報アプリです。そのためにはもう少し幅広く、いろいろなジャンルの情報を載せていけるようにしていきたいと思っています。
「何か発信したいときは社内報アプリで」と認識されたことは大きい
―― 最後に、社内報アプリを入れてよかったこと、広報のやりがいを聞かせてください。
福岡さん:社員から「社内報アプリのプレゼント当たったよ!」と笑顔で話しかけられたり、感想をもらえたりしたときはうれしいものです。やはり社員の皆さんが喜んでくれることがやりがいです。
南川さん:以前は「広報ってどんな仕事をしているんだろう」と思われることもありましたが、社内報アプリを導入したことで、広報室が取り組んでいる活動が認識されるようになりました。今は「何か発信したいときは広報室に相談すればいいんだ」と社員も分かってくれていますし、他の部署の人から「これを社内報アプリに載せてほしいんだけど」と声を掛けていただくことが増えました。これはとても大きなことです。
―― 貴重なお話をありがとうございました。