1983年設立、マンション管理事業、ビル・商業施設の管理事業、建設業などを展開する大和ライフネクスト株式会社。社内報Web化の第一歩として、2021年5月、マンション事業本部の事業部報として社内報アプリを導入。丁寧な対応で読み手の信頼を獲得し、社内でも欠かせないツールに進化しています。運用をけん引した担当者の皆さんにお話を伺いました。
【導入目的】
- 各地、各建物に勤務するスタッフとのタイムリーな情報共有を図る
- 業務やスキルアップに必要な情報を確実に届ける
- 事業部報での成功体験を、全社の社内報のWeb化へつなげる
【課題】
- コロナ禍で、会社から伝えたいことが伝わりづらい状況に
- 紙の社内報だとタイムラグがあることでコンテンツが制約されてしまう
- スマホが苦手な世代のスタッフもおり、社内広報のWeb化が進まない
【効果】
- スマホで知りたい情報を見やすく紹介。動画でも分かりやすく案内
- マニュアルも社内報アプリに移管し、利便性アップ
- 効果測定を活用し、必読記事を確実に見てもらえるように
- 情報を伝えたい部門が直接記事にできることで、コンテンツの質と量が向上
- 社内報アプリでの成功が、社内全体のDX推進のきっかけに
■大和ライフネクスト株式会社
- 事業内容:マンション管理事業、ビル・商業施設等管理事業、建設業、警備事業、貨物利用運送事業、コールセンター事業、損害保険、生命保険代理店事業
- 従業員数:8176人(2023年3月末時点)
- 広報担当者様:経営企画室 金坂将史様、マンション事業本部 事業推進部 企画統括課 剱持くるみ様、諸富敬侑様、田村大和様
目次
管理員には紙がいい? これまでの考え方を変えるべくWeb化に挑戦
――Web(アプリ)社内報導入の経緯からお聞かせください。
金坂さん:もともと社内報や、事業部報を紙で発行していました。マンション事業本部でいえば主な読者がマンションの管理員で、65歳以上の方もいるため「読み物と言えば紙だよね」との考え方がありました。
ところがコロナ禍で在宅勤務が増え、紙社内報が手元に届きづらくなってしまいました。また社会情勢が大きく変わる中で、その都度何を伝えていくべきなのか複雑になります。紙だとタイムラグが生じますし、コンテンツ作成も難しくなっていました。
「これはもうWeb化するしかない!」と社内提案制度に応募したのですが、残念ながら落選。理由は「いきなり全てをWeb化してしまうと、会社から従業員に伝えたいことが伝わらなくなるかもしれないから」とのことでした。一方「まず事業部報をWeb化して成功体験が得られれば、全社展開できるのでは?」とアドバイスをくださる役員もいました。
そこでマンション事業本部のみの事業部報として、Web化することを再提案。これが承認されて、2021年5月に社内報アプリの運用がスタートしました。
――ツール選びで重視したこと、また社内報アプリに決めた理由は?
金坂さん:求められていたのは、経営や事業部からのメッセージをいち早く、分かりやすく伝えること。紙からWebに切り替えても品質が維持できて、量も担保できること。それができるのがウィズワークスの社内報アプリでした。
デザインのテンプレート機能、記事のコピー機能などが備わっていて、整った記事をたくさん作れる。セキュリティも含めていいバランスで設計されている印象でした。
剱持さん:導入前から現在まで一貫して手厚いサポートが受けられるのもよかったです。ウィズワークスが運営するサポートサイトやセミナー、担当ディレクターとのMTGで紹介される他社事例も参考になりました。サムネイルの作り方や便利な編集機能などもそうしたところから学び、改善しながらやってきました。
ログインでつまずく人を、マニュアルと問い合わせ窓口で徹底フォロー
――アプリ導入時に苦労されたことはありますか?
剱持さん:基本的に各マンションに1つ社用スマホが貸与されている状況ですが、その多くがシングルサインオン(自動ログイン)ができる仕様ではない状況でした。そうした方々にいかにアカウントを付与し、ログインさせるのか。そこから提案してもらいました。
ログインしてもらうのがまた大変でした。管理員はほぼ1人体制で、高齢の方も多いです。想定はしていたので、分かりやすいマニュアルを作って配布してあったのですが、それでも「IDとパスワードって何?」「英字と数字はどう切り替えるの?」など、電話でさまざまな問い合わせがきました。
あまりに多かったので問い合わせフォームを作り、そこで受け付けて、こちらから電話を掛けるスタイルに変更しました。それでも3人体制で数千人の管理員に対応するのは大変です。困った時にはとにかくウィズワークスに相談。「管理員に分かりやすく伝えるにはどうしたらいい?」と聞けば、「動画を用意したらどうでしょうか」などとすぐに返信が来て、非常に助かった記憶があります。
丁寧な対応や、マニュアル類の社内報アプリへの移管が閲覧を後押し
――オープン後、社内の反応はいかがでしたか?
剱持さん:大変な思いをしながらも丁寧に対応したことで、管理員の中で「ここに相談したら教えてくれるよ」との口コミが広がり、分かるようになった方から「社内報アプリはいいぞ」との話が広まっていきました。「手元でカラーのマニュアルを読める」「動画で見られる」といったところがシンプルに喜ばれ、好印象を持ってもらえたようです。
金坂さん:「オープン前に一定数の記事を用意しておいた方がいい」とのウィズワークスのアドバイスもあり、ストック記事を準備しておいたこともよかったですね。
剱持さん:過去の紙の社内報から業務知識の記事などを抜き出して、10から15本の記事を用意しておきました。「アプリを開いてがっかり」とはならなかったと思います。
――閲覧数を伸ばすためには、どんな工夫をされたのでしょう。
剱持さん:当初は週3回、現在は週1回、更新のお知らせメールを配信しています。他には月1回、本社から各マンションに送る書類などの定期便に社内報アプリの告知を入れたり、定期ミーティングの場でログイン方法の動画を流したり……。全社の紙社内報でも、社内報アプリと連携した情報を載せてもらっています。
また、業務マニュアルを社内報アプリ上で読めるように変えました。本来、社内報は見ても見なくても自由なものです。ただ、社内報アプリはWebなので、ここに載せれば業務効率化できるものがあるんじゃないかと考えました。導入前からそういったコンテンツの候補をいくつか上げていたのですが、その一つがマニュアルでした。
今では社内報アプリにログインしないとマニュアルが読めません。その流れで他の記事にも自然と目が行きます。社内報アプリを「仕事をしていく上でなくてはならない」という位置付けにできたのは大きかったです。
伝えたいことを、伝えたい人が直接記事にできるメリットを実感
――他にも社内報アプリだからできたこと、よかったことはありますか?
剱持さん:効果測定は活用しています。例えばタイトルに「必読」と記した記事がきちんと読まれているかどうか。必読記事はトラブル事例の報告など、再発防止のために読んでいただく必要があるので、閲覧状況を毎月確認し、リスク委員会で共有しています。
金坂さん:効果測定でいうと、意外にも業務知識系の記事がよく読まれていることが分かりました。個人情報漏洩への注意喚起、熱中症対策など、知っていなくてはならない記事がよく読まれていた。現場で働く方の真面目さが実証されたようでうれしかったです。
剱持さん:清掃業務のコツなどスキル関連の記事は、研修などを担当している人材サポート課に作ってもらっています。最初は一緒に作っていましたが、やり方を引き継ぎ、今では研修講師自身が「知っておいてほしい」と思うことを動画や記事にしています。私たちだけでは作れない、よいコンテンツを作ってもらえる上に、仕事が楽になりました。
金坂さん:記事の編集権限を使い分けているので、このコンテンツは人材サポート課に任せるという運用ができています。「これを広報したい」と思う人が直接、記事を編集できる仕組みは、情報発信したい他部門にも喜ばれています。
剱持さん:他には、物販部門から社割で利用できるサービスのPRを載せてもらえるようにしました。若干かもしれませんが、会社の売り上げに貢献できるのもよかったです。
――他部門との連携も進んでいるのですね。
金坂さん:他には人事部門の協力もあり、今では入社時研修の中で、社員に社内報アプリのログイン方法を教えてくれています。
剱持さん:人事部門が自主的に始めてくれました。「社内報アプリは便利なツールだ」と社内に広く伝わったおかげです。社内提案制度で一度は落選したWeb化でしたが、諦めなくて本当によかった。社内報アプリは導入から1年後、社内表彰制度でトップの賞をいただきました。
社内報アプリの成功が、DX推進のきっかけに
――社内報アプリの導入によって、社内全体に変化はありましたか?
金坂さん:DX推進が一気に進んだところが一番の変化だと思います。これは、社内報アプリで記事を読めている管理員が85%いるとの事実が分かったからこそ。スマホが使えるのであれば、他にもこれもできるし、あれも効率化できる。これまでFAXで送っていたものもペーパーレスにしようなど、DX推進が進む契機となったのは、確実に社内報アプリ導入の影響だと思っています。
――今後、やりたいことを教えてください。
金坂さん:現在、社内報アプリはマンション事業本部以外に、ビル管理の部署にも活用してもらっています。社内の情報をスピーディかつ品質よく提供する1つのインフラは構築できました。ただ、これが社内の文化になるまでにはまだ時間が掛かるでしょう。あと1~2年、このまま地道に運営していき、チャンスがあれば全社の社内報にも展開させたいと考えています。
――貴重なお話をありがとうございました。