1976年に創業されたパソナグループ。現在では人材派遣や人材紹介、BPOのほか、兵庫県淡路島を中心とした地方創生事業も手がけるなど、多岐にわたる事業を展開しています。
2万人を超えるグループ従業員の思いを一つにまとめるためのツールとして、積極的に活用しているのがグループ報「働楽人(どうらくじん)」です。2022年1月に社内報アプリを導入し、閲覧数を増やしているパソナグループの広報部副部長の中村遼さまと、マネージャーの橋本優子さまにお話を伺いました。
【導入目的】
- グループ企業約60社の従業員全員に企業理念や経営ビジョンを浸透させる
- 働く環境が違ってもパソコンやスマホなどで全社員が社内報にアクセスできるようにする
- 双方向性をもたせて発信内容に対するリアクションが得られるようにする
【課題】
- 社内ネットワークからシームレスに社内報ページに飛べるようにしたい
- より多くの従業員に読まれるように記事デザインのバリエーションを増やしたい
- 動画や音声のコンテンツを簡単に扱えるようにして伝え方の幅を広げたい
【効果】
- 導入直後から閲覧数が1.5倍に増えてその後も数値を維持
- 経営トップのメッセージ動画などが即日アップ可能になりアクセスが大きく向上
- 淡路島など他の地域での取り組みも動画で伝わりやすくなった
■株式会社パソナグループ
-
- 事業内容:エキスパートサービス(人材派遣)、BPOサービス(委託・請負)、HRコンサルティング、教育・研修、グローバルソーシング(海外人材サービス)、キャリアソリューション(人材紹介、キャリア支援)、アウトソーシング、ライフソリューション、地方創生ソリューション
- 従業員数:23,488名(連結・契約社員含む)
すべてのグループ従業員がシームレスにアクセスできる社内報に
―― 約20年前からWeb社内報を配信していたと伺いますが、今回なぜ社内報アプリを導入することになったのでしょうか?
中村さん:パソナグループでは従業員全員に企業理念や行動指針(Pasona Way)、経営ビジョンを浸透させて、一つの思いを持って事業に臨むことを大事にしています。ところが、グループ会社が60社ほどある中で、これまでWeb社内報がスムーズに見られるのは、Office365環境を共有している会社に限られていました。
そこで、環境を共有していない会社も含めて、グループ全社の従業員が手軽に社内報を見られる状態を作るのが、社内報アプリを導入した最大の目的でした。
橋本さん:社用パソコンだけではなくスマホでも同じように見られるという点は、重視していました。また、双方向性を持たせて、我々が発信したものに対する従業員からのリアクションが得られるようにすることも目的の一つでした。
―― さまざまある社内報システムの中で、どのようなポイントに着目して社内報アプリを選ばれたのでしょうか?
橋本さん:比較検討した中で、社内報アプリはテンプレートのバリエーションが豊富で、操作性という点でも初見の人が扱いやすく、使い手にやさしい作りになっていた点ですね。社内報の作り手側の立場で開発されて、制作上の悩みを解決するために最適化されたシステムだというのを感じました。
導入からアフターメンテナンスまで、コンサルティング的な要素がパッケージとして盛り込まれている点も良かったと思います。
一番こだわったのがダイレクトシングルサインオンです。普段の業務でOffice365にログインしている社員が、そのままワンクリックでシームレスに社内報のページに飛べるようにしたかったのです。これはウィズワークスさんにお願いして、カスタマイズしてもらいました。
中村さん:どの会社にとっても、社内報の閲覧数を増やすために、いかに社員がストレスフリーに見られるようにするかが大きな課題ではないでしょうか。パスワード入力をしなくても、業務環境にあるパソコンから社内報へシームレスに飛べるというのは、閲覧数を増やしたり、社内のコミュニケーションを取りやすくするために、とても大事だと考えています。
―― 導入にあたってのご苦労はありましたか?
中村さん:今回の導入に際しては、コンテンツも大幅にリニューアルしましたが、どういう構成でコンテンツやコーナーを作っていくかについて、ウィズワークスさんにも入っていただきディスカッションを重ねました。その際にコンテンツの枠組みを提案していただいたのが大きかったですね。
テキストメインの記事だけではなく、動画コンテンツや音声のみのコンテンツなど、いろんな伝え方を選択したいと考えていたので、その点でサポートしてもらいました。
橋本さん:動画でも長すぎてはダメで、ライトに見せるならこれくらいの長さが良いとか、動画とテキストで両方配信している記事の場合についても、適切なテキストの量や写真の挟み込み方など、具体的なアドバイスがあって、とても参考になりましたね。
動画コンテンツが配信しやすくなり、従業員の注目度もアップ
―― 社内報リニューアルに対する社内での反応はいかがでしたか? また閲覧数は増えたのでしょうか?
中村さん:ポジティブな反応がとても多かったですね。もともと記事のデザインのレパートリーを増やしたいという意図もありました。その点で、デザイン性が向上して見やすくなったという感想や、動画などのコンテンツのバリエーションが増えて面白くなったという声が寄せられていて、意図した通りの結果が出せていると思います。
橋本さん:閲覧数もリニューアル前と比べると約1.5倍まで増えました。リリース直後はもちろん注目を集めて見てもらえやすいですが、その後も継続して1.5倍程度を維持し続けている点が特筆すべき点だと思っています。
逆に、リニューアルから1年が経過し、これからは前年のアクセス数を上回っていかなければならないので、ハードルが上がってしまいました(笑)。
―― どのようなコンテンツが人気ですか? また閲覧数アップのための施策はなにか行っているのでしょうか?
中村さん:人気のコンテンツは大きく2つあって、一つはグループの代表や各社の社長の動画や経営方針やビジョンに関わるもので、よく見られています。もう一つが、いろいろなグループ会社の方々を紹介する記事です。身近な従業員を紹介したほうが見てもらえることが分かってきたので、一般の社員の方に登場していただいています。
例えば「キラリ☆ビト」という社員にスポットを当てた記事で、たとえば、仕事をしながらアイスホッケーの選手としても活躍してます、といった方々を取り上げています。とても人気が高いですね。
橋本さん:閲覧数アップという点では、まずはIT部門の協力で、共通のOffice365の環境下にある社員は、朝出社してPCを起動すると社内報のトップページが自動的に表示される設定にしました。記事のサムネイルも、少しでも目を引くように工夫して作成しています。
人事部門の協力で、新入社員や中途採用者の研修でも、社内報とその閲覧方法を紹介する取り組みも行っています。
―― 動画コンテンツが増えたことで、どのような効果が得られていますか?
中村さん:たとえば淡路島での取り組みをテキスト記事で紹介しても、東京やほかの地域の社員が身近に感じるのは難しい面もあったと思います。それが新しく「AwaTube(アワチューブ)」という短い動画で紹介するコーナーができたことで、やはり百聞は一見にしかずで、現地でどんなメンバーが活躍しているのかとか、どういった素敵な施設がオープンしたのかというのが伝わりやすくなったのは、動画ならではの良さだと思っています。
橋本さん:動画を手軽にアップできるようになったことは大きいですね。以前は動画の編集・アップ作業を外注していたので、アップまで中2~3日かかり、気軽に掲載できる状況ではありませんでした。
現在は、東京のメンバーはもとより、淡路島の広報スタッフも編集権限を持っているので、現地で即日アップすることができます。また、当社の事業年度の初日(6月1日)や新年の第1営業日(1月5日)に必ず行う「記念朝礼」でグループ代表が発信したメッセージを、当日のお昼には動画でアップできるようになりました。
グループ内コミュニケーションのハブとなるメディアに育てたい
―― グループ連携を高めることも大きな目的だと伺いましたが、その点では効果が現れていますか?
中村さん:もともとグループ各社の連携は比較的強い社風なのですが、それをさらに強化していきたいというのが大きなテーマです。社内報のリニューアルによって、グループ会社も含めて閲覧しやすい環境になったことは、グループ間連携にとってプラスに働いていると感じています。
とくに動画やパソナラジオというコンテンツを通じて、グループ各社の経営陣の映像や音声に触れることで身近に感じられるので、親近感が湧く一助になっていると思います。
橋本さん:グループ各社の社長メッセージを動画つきで配信していますが、それを通じて社員にとっても新しい発見があるようです。それまで全く関係ないと思っていたグループ会社の事業やサービス内容を知って、どのような連携が可能か、どうしたら新しい事例が生まれるのかなど、発想のヒントになっているように思います。
―― 今後の課題としては、どのようなことがありますか?
中村さん:ユニークユーザー数を伸ばすことですね。アクセス分析をすると、グループ内で閲覧可能な人数に対して、まだ見てもらえていない人たちが3割程度います。その皆さんにどう見てもらえるようにするかがこれからの課題です。
各部署のミーティングなどに顔を出させてもらい、その場でアピールするような地道な活動もしながら、対策を考えていきたいです。
橋本さん:その点に関しては、IT部門や人事部門と連携し、部署ごとの閲覧率も分析できるようになりました。部署の特性と閲覧率の相関関係なども推測できるので、そちらから解決策を考えてアプローチもしていきたいです。やはり見てほしい部署や、見てもらいたい皆さんに届ける努力を続けていきたいと思っています。
―― 社内報を今後どのような役割を担う存在にしていきたいと考えていますか?
橋本さん:社内報にアクセスすれば、何か知りたかったことが見つけられるという情報源にしていきたいですね。また頑張っている従業員が、自分もそこに掲載されたいと思えるようなメディアに育てていくのが目標です。
中村さん:社内報をグループ内のコミュニケーションのハブになるような存在にしていきたいです。経営層が思っていることを社員に伝える場でもあり、一人ひとりの頑張りや思いを全社に伝える場でもあるので、いろんな思いや考えをグループ内に届けられるようなメディアになればいいと考えています。広報部自体についても、グループ内で何かあれば広報に声をかけようとか、相談しようと思ってもらえる存在でありたいです。
―― 貴重なお話をありがとうございました。