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従業員エンゲージメントとは?必要性や高めるメリット、ポイントを解説

公開日 : 2021.08.04  最終更新日 : 2022.08.11
運用・体制

従業員エンゲージメントの写真従業員エンゲージメントは、従業員と企業がビジョンや理念を共有し同じ方向を目指すための重要な指標として注目を集めています。従業員エンゲージメントの向上は、人材開発や組織の生産性を上げていくためにも重要です。そのため、従業員エンゲージメントを高めるための取り組みを進めている企業も増えています。

この記事では、従業員エンゲージメントの定義やその必要性、従業員エンゲージメントを高めるためのメリットやポイントなどを解説します。

従業員エンゲージメントとは

「従業員エンゲージメント」は、従業員が勤務する企業に対して抱く信頼や理解などの度合いを表す言葉です。「エンゲージメント」とは、英語で「約束、契約、誓約、婚約」などの意味があります。

ビジネスの領域で使われる用語として「顧客エンゲージメント」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。顧客エンゲージメントは、ユーザーが企業のブランドや製品にどれだけ愛着を持っているかを示す指標として使われています。

したがって、従業員エンゲージメントは企業への思い入れや愛着などと解釈することができます。また、人事や組織開発においては、さらに踏み込んで「従業員が企業の考え方に共感し、自発的に企業に貢献したいと思う意欲」や「従業員が抱く企業に対する信頼度」とも捉えることができます。

現状では広い意味で用いられているため、従業員エンゲージメントを高める施策を打つ際には、それぞれの企業が独自に従業員エンゲージメントを定義したうえで話し合うと良いでしょう。

従業員エンゲージメントを高める必要性

日本ではかつて終身雇用が一般的でした。終身雇用は、新卒で一度就職をした会社が業績悪化などによって倒産しない限り、定年まで同じ会社で働き続けるという考え方です。終身雇用の仕組みでは、長年働く中で従業員エンゲージメントが高まっていく流れが自然とあったため、特別な対策を打つ必要性が今ほど高くなかったといえるでしょう。

しかし、現在ではライフステージや家庭の事情、考え方の変化など、さまざまな理由により転職をする人も増えています。そのため、有能な社員が他社に引き抜かれたり、待遇の改善を求めて社員が自発的に新たな転職先を見つけて離職したりすることがあります。また、少子化の影響で30歳以下の労働人口も減少傾向にあり、採用活動は年々厳しくなっているというのが現状です。

このような背景から、日本でも従業員エンゲージメントを高める施策について注目が集まっています。企業が従業員との関係性づくりに積極的にアプローチすることで従業員エンゲージメントを向上させることができれば、「社員が離職しやすく、新しい人材を見つけにくい」という状況を打開できる可能性があります。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

話し合いの様子の写真

従業員エンゲージメントを向上させることで、従業員と企業の双方にさまざまなメリットがあります。ここでは、具体的なメリットについてご紹介します。

離職率の低下

従業員エンゲージメントが向上すると、離職率を抑えることができます。従業員が企業に対して抱く心理的な価値が高くなり、その企業で働くことに誇りを感じたり愛社精神が高まったりします。給与などの待遇以外にも心理的に満足できる環境に身を置くことができると、この職場で継続して働きたいという意志につながります。

企業と従業員との信頼関係が強いほど、優秀な人材の流出を防ぐことができるといえるでしょう。多くの企業が人材不足に悩む中、自社の優秀な社員が定着してくれるのは企業にとって重要なメリットです。

従業員のモチベーションが上がる

従業員エンゲージメントが高いということは、言い換えると従業員が企業の進むべき方向に共感し信頼を寄せている状態を示します。従業員は自分自身の仕事に誇りを持って取り組むことができ、意欲的に企業の目標達成に貢献したいと考えるようになります。

したがって、従業員エンゲージメントが向上すると、従業員の仕事に対するモチベーションも上げることができるでしょう。

従業員同士の連携が強まる

従業員それぞれが企業に強い信頼感を抱いたり熱意を持って仕事に取り組む行動が増えると、従業員の間でも士気が高まります。目標を共有して同じ方向を目指すことで、従業員同士の連携が強まるでしょう。

また、お互いに信頼し合って働くことで相乗効果を生み出し、企業全体で良い雰囲気を作り出せる、といった効果も見込めます。新入社員と中堅社員、上司と部下といった関係の中で相互に助け合う環境が自然と形成されるのも従業員エンゲージメント向上によるメリットだといえるでしょう。

サービスレベル・顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントが低いと、従業員は会社への貢献意欲が低く、上司からの指示を待つ消極的な態度になってしまいます。一方で従業員エンゲージメントが高まると、企業に貢献したいという気持ちが強くなり、仕事へのモチベーションや集中力が上がります。

従業員のモチベーションアップが、結果として企業のサービスレベルや顧客満足度を上げることにつながるでしょう。従業員の仕事に対する積極性が生まれることで、企業が提供するサービスや技術力が上がり、ビジネス全体の質も改善されていきます。現状のサービスに課題がある場合は、改善案を自主的に出したり課題を自ら提示したり、というような動きも自然に生まれるでしょう。

業績が上がる

従業員がエンゲージメントを高め、それぞれが能力を高めて企業に意欲的に貢献しようとすると、結果として企業の業績アップにつながります。

従業員エンゲージメントの高い企業は、前述したようなサービスレベルや顧客満足度の向上が見込めるほか、従業員同士の相乗効果によって顧客満足や売上伸長率、純利益伸長率の向上などの好循環を生み出すことができると考えられているためです。

従業員エンゲージメントを高める5つのポイント

従業員エンゲージメントを高める5つのポイント

従業員エンゲージメントの向上は、従業員・企業、双方にメリットがあり、結果的に企業の業績を上げることにもつながります。従業員エンゲージメントを高めるために、企業から従業員へアプローチできることもあります。

ここでは、従業員エンゲージメントを高めるために意識したい5つのポイントを説明します。

企業の理念・ビジョンを明確にし、共有する

従業員エンゲージメントは、従業員が企業の考え方を理解し、強い信頼を抱くことが重要です。そのために、まずは企業が目指すべき方向やビジョンを明確にし、的確に従業員に伝えることが必要不可欠です。企業では広報などを通して企業理念やビジョンを外部に向けて発信することが多いですが、社内でも十分に情報共有をする必要があるでしょう。

さらに、上層部で決めた事項を一方的に発表するだけでなく、従業員の共感を得られているか、従業員がどのような反応を見せているかなどを調査すると効果的です。必要に応じて従業員の声を取り入れることで、企業への信頼や愛着が増すきっかけになるかもしれません。現場をよく知る従業員の反応にも注意してビジョンの共有と改善を重ねるとよいでしょう。

企業理念を浸透させる方法については、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。

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コミュニケーションを活性化させる

従業員エンゲージメントを高めるためには、チームメンバーや上司・後輩などの同僚と良い関係を築くことも重要な条件となります。コミュニケーションを円滑に取り、同僚と信頼関係を築いてチーム内の雰囲気を良くすることで、会社への愛着も強くなるでしょう。

一方で、コミュニケーションや人間関係に問題がある場合は、会社に貢献する意欲が下がってしまいます。

大切なのは、同僚と一緒に企業のために努力したいと思えるような、良好な人間関係を築くことができる工夫です。ランチミーティングや社内交流会などのイベントを企画したり、部署の違う従業員同士を集めて特別プロジェクトを立ち上げたりするなど、コミュニケーションの活性化をサポートする取り組みを試してみましょう。

社内報を立ち上げて、従業員の仕事に対する思いや特技などを記事で公開することも、コミュニケーション活性化のきっかけになります。社内報に取り上げられることで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まる効果もあります。

適切な人事評価を行う

従業員に適切な人事評価を行うことは、従業員が企業に信頼を寄せるために重要なポイントです。人事評価が適切だと、実績を上げた従業員は企業が正当に評価してくれていると感じ、さらに企業に貢献したいという気持ちを強めるでしょう。従業員エンゲージメントを高めるには、企業も従業員を信頼し合い、相互的に信頼関係を築くことが大切です。

適切な人事評価を運用するには、どのような方法で評価が行われるかを明確に従業員に伝え、フィードバックの機会を細かく設けるなどの工夫が必要となるでしょう。

イノベーションを生み出しやすい環境づくり

従業員エンゲージメントの向上には、従業員が考えたアイデアを行動に移し、積極的にチャレンジできる環境づくりも大切です。特に、入社したばかりの社員はこれまでにない画期的なアイデアを持ち合わせている場合もあります。

社内の立場や経験年数も重要ですが、一方で新しいアイデアを大切にし、イノベーションを生み出しやすい職場環境を整えることもポイントです。自分たちの意見が反映される可能性があると分かると、会社への貢献意欲も上がるでしょう。

従業員の働き方を見直す

企業は、従業員の視点に立って考え、それぞれがワークライフバランスを確立しながら働けているかという点を見直すことも重要です。子育てや介護が必要な人、趣味の時間を大切にしたい人などさまざまなライフスタイルがあります。そのため、時間に融通を利かせることができるフレックスタイム制を導入したり、福利厚生の制度を見直したり、有給を取得しやすくしたりするなど、従業員が働きやすいと思える体制を整えましょう。

たとえ、仕事に対するモチベーションが高い状態でも、ワークライフバランスが両立できなければそれを維持することは困難です。

従業員エンゲージメントを高めた企業の成功事例

ここでは、従業員エンゲージメントの向上に成功している企業の事例を紹介します。

スターバックス コーヒー ジャパン

スターバックス コーヒー ジャパンは、従業員エンゲージメントの高さでよく知られる企業です。

同社には、サービスに関するマニュアルがほとんどありません。アルバイトや学生が8割を占めるという店舗従業員でも、マニュアルなしで、さまざまな顧客に柔軟に対応できるのは、従業員エンゲージメントが高いからといわれています。

また、従業員は「パートナー」と呼ばれ、新しく入社したパートナーには、ミッションやバリューへの共感はもちろん、個人としての将来像や目標を考えるように求めます。スターバックスの仕事で何を身に付けたいかをともに考え、4カ月ごとの人事考課で振り返ります。こうした仕組みで個人の成長を支えることで、従業員エンゲージメントの向上につなげているのです。

小松製作所

建設機械メーカーとして日本でトップシェアを誇る小松製作所は、従業員エンゲージメントを大きく向上させた企業です。取り組み前は33だったエンゲージメントスコアは70に、離職率は33%も低下しています。

取り組みのスタートは、2011年、「コマツウェイ」と呼ばれる自社の「永続すべき価値観」を、より簡潔に伝わるように形を再編したことにさかのぼります。そして、現場の従業員のエンゲージメントを高めるには、直属の上司になるマネジメント層が重要な役割を果たすと考え、マネジメント層に向けた研修を開始します。

中でも、マネジメント層が特に気を配るべき5つの要素として、

  1. 信頼
  2. モチベーション
  3. 変化
  4. チームワーク
  5. 権限委譲

を掲げ、これら5つの要素を満たすために必要なことを研修で学び、現場で実践することで、エンゲージメントの向上に取り組んだといわれています。

味の素

味の素グループは、2017年度から「エンゲージメントサーベイ」という調査で自社の従業員エンゲージメントについて調べています。それによると、2017年度時点で「働きがい」について好意的に感じている社員の割合は79%、「自らのこころとからだが健康だと感じている人」の割合は76%と、いずれも多くの社員が現状におおむね満足しているということがわかったそうです。

このような結果が出た要因は、味の素グループが2008年から労働環境の改善に取り組んでいたことが挙げられます。

同社では、2008年度に「味の素グループWLB(ワークライフバランス)(ビジョン)」を制定し、1日7時間労働を前提とした取り組みを重ねてきました。

2010年度には育児時短勤務の利用期間を小学校3年生末まで拡大、育児休職15日分を有休化。2014年度には時間単位有給休暇やテレワークを導入。

さらに2017年度は、テレワークを拡大し、ペーパーレス化や社内会議時間の見直し、社内一斉メールの削減など地道な施策によって所定労働時間を20分短縮しています。

会社として従業員の働き方を真剣に考える姿勢が従業員にも伝わり、従業員エンゲージメントが飛躍的に向上したのです。

Web社内報により従業員エンゲージメントを向上させた事例

上述したように、従業員エンゲージメントを高めるには、企業の理念やビジョンを明確にしたり、社内コミュニケーションを活性化することが有効です。そのツールとして、近年はWeb社内報を導入する企業が増えています。ここでは、Web社内報で従業員エンゲージメントを向上させている企業の事例を紹介します。

ベネッセホールディングス

「こどもチャレンジ」などで知られる教育業界大手、ベネッセグループでは、2021年1月、グループ会社約30社、2万人をつなぐデジタル基盤として、Web社内報「社内報アプリ」を導入しました。

同社グループは教育、介護・保育、生活など事業が幅広く、各グループ社員の働き方も大きく異なります。その中で、企業理念「よく生きる」に共感できるきっかけや活動につながる情報をタイムリーに共有することが目的でした。

社内報アプリ導入後は、グループの情報をこまめに発信できるようになったことで、新規事業・業務改善提案制度など、グループの動きに重要な情報にアクセスする社員が増え、一体感の醸成やエンゲージメント向上につながっています。

参照:グループ30社、2万人を一つにつなぐ スピード感と臨場感あふれるアプリ社内報

ワコールホールディングス

ワコールは社員の約7割を外勤社員(店頭販売員)が占めており、コロナ禍により、会社の情報を共有する機会が減少。従業員エンゲージメントの低下が懸念されていました。

そこで、成功事例など部門を超えた情報の共有を通じてコミュニケーションを活性化し、従業員エンゲージメントの向上につなげるため、Web社内報「社内報アプリ」を導入します。

「社内報アプリ」では、従業員の仕事に掛ける思いや、プライベートの一面を伝える企画などで社員間のコミュニケーションを促進。「こういう取り組みをしたら売上が伸びました」といった店舗のノウハウ共有記事には、コメントも複数寄せられるなど、帰属意識の向上につながっています。

参照:動画や写真を多用してタイムリーに発信。情報が集まり、帰属意識が高まる社内報アプリへ

ティーガイア

携帯電話などの販売代理業で国内最大手のティーガイアは、全国約400の店舗・拠点に勤務する従業員に対し、「社内報アプリ」を通じて従業員エンゲージメントの向上を図っています。

「社内報アプリ」では、読者からニーズの高い、社員や店舗の情報をタイムリーに発信。画像を多く載せたり、動画を活用したりすることで、ビジュアルで見せられるため、社員からは「紙での情報共有よりも読みやすい」と好評です。また、複数の部署から記事の掲載依頼があるなど、従業員の情報共有ツールとしての認知度が高まっており、一体感の醸成に役立てられています。

参照:Web社内報で効果を数値化、PDCAを通じて「社内コミュニケーションの場」に育てる

従業員エンゲージメント向上には社内報も効果的

従業員と企業との信頼関係を深めて従業員エンゲージメントを高めることで、優秀な人材流出の防止やモチベーションの向上、業績の改善などさまざまなメリットが期待できます。

従業員エンゲージメントは従業員の気持ち次第ではなく、企業からアプローチすることで効果的に高めることが可能です。企業のビジョンや方針を分かりやすく従業員と共有し、従業員の抱えるさまざまな問題に配慮しながら企業に貢献してもらえるように工夫していくと良いでしょう。

また、社内報を通じてビジョンの共有、コミュニケーションの創出を行い、従業員のエンゲージメントを高めることもできます。ウィズワークスの「社内報アプリ」では、読みやすい記事を簡単に作成できます。料金や利用方法など、詳しい内容は「資料請求」ページからお気軽にお問い合わせください。


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