社内報は自社の社員に広く情報を発信するためのツールです。単に情報を共有するだけではなく、社員のモチベーションアップやコミュニケーションの活性化を促す役割もあります。
しかし、頑張って作成したコンテンツでも、内容が読み手に刺さり、行動を促すことができなければ効果がありません。発行目的に合わせて読者ターゲット(誰に届けるか)を設定し、明確な効果を想定した上で企画構成を考え、適切なタイミングで発信する必要があります。
1号で大特集を組むのか、何号かに分けて特集を組むのか、または、一定期間で連載を続けた方が社内に浸透しやすいテーマなのかなどの検討も大切です。最も効果的にコンテンツを発信するにはどうすればいいのか悩んだ際は、こうした基本に立ち返ることも重要です。
この記事では読まれる社内報を作成するコツや、コンテンツ作成に使えるオススメのネタを紹介します。初めての社内報制作に取り組もうとしている方、社内報の改善を図りたい方は、ぜひ最後までチェックしてください。
目次
社内報を発行する3つの目的
社内報制作のコツを解説する前に、なぜ社内報を発行する必要があるのかを解説します。社内報を発行する目的は主に3つです。
- 経営理念や事業目的の明確化
- 社内コミュニケーションの促進
- 会社に対する帰属意識の向上
ここでは社内報の発行目的について詳しく紹介していきます。
1.会社の経営理念や事業目的を明確にする
一つ目の目的は、会社の経営理念や事業目的を明確にするというものです。
社内報に経営陣のメッセージを掲載することで、組織としての目標や課題を従業員に周知させ、社員一人ひとりの意識や行動の変化を促すことができます。
また、会社の歴史を残すことも社内報の役割です。その時点で経営陣は何を考えていたのか、会社としてどのような出来事があったのか、過去の社内報は会社の沿革を知る手掛かりにもなります。
経営理念を浸透させる方法については、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。あわせてご
覧ください。
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2. 社内コミュニケーションを促進する
二つ目の目的は社内コミュニケーションの促進です。
組織が大きくなると、社員間の関係性やコミュニケーションがおのずと希薄になります。部署が違うと顔も名前も知らないということは珍しいことではありません。社内報を活用することで、他部署でどのような人達が活躍しているのかを知る機会になるでしょう。
社内報を通じて他の人の仕事への取り組み方や事例などを知り、仕事のヒントが得られる可能性もあります。他部署の社員に相談してみるきっかけになるかもしれません。
また、社内報には社員へ共通の話題を提供するという側面もあります。普段は関わりが少ない社員同士でも、社内報のコンテンツで情報共有したネタで話題を膨らませることができるでしょう。
社内コミュニケーションの促進の方法については、こちらのコラムでも詳しく紹介しております。
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3. 会社への帰属意識を高める
三つ目の目的として、社員の会社に対する帰属意識を高めるということが挙げられます。
社内報には会社の情報を全社員に共有し、社員間の情報格差をなくす役割もあります。情報が共有されることで自分も組織の一員であるという意識が自然と強くなるでしょう。
また、社内報は社員の家族に会社のことを知ってもらうツールにもなります。会社の未来像や社会貢献活動、共に働く仲間や職場環境、新聞やテレビで目にしたビッグプロジェクトの裏側、また、会社が提供する福利厚生まで、会社にまつわる情報を社内報を通じて家族に理解してもらうことも大切です。家族が安心して後押しを得ることで、より安心して業務に取り組めるようになるでしょう。
読まれる社内報を制作するための4つのコツ
ここからは読まれる社内報を制作するためのコツを紹介します。
社内報を制作する際は以下の4つのコツを意識しましょう。
- ターゲットを明確にする
- コンテンツの目的を明確にする
- できる限りシンプルに発信する
- 次回の作成に向けて改善点を洗い出す
社内報を制作する際はここで解説するポイントを参考にしてみてください。
1. ターゲットを明確にする
コンテンツを考える際は「誰に読んでもらいたいのか」を明確にしましょう。
ただ情報を網羅するだけでは誰にも刺さらない内容になってしまいます。ターゲットを絞り込み、その人にとって有益な情報をしっかり盛り込むことが良いコンテンツを作るコツです。
社内報は社員へ向けたコンテンツですが、社員といってもその立場はさまざまで、ベテラン社員もいれば新入社員もいます。
また、内勤がメインの部署もあれば、外勤がメインの部署もあります。最近ではテレワークや時短勤務の方もいるでしょう。社歴や部署によっても考え方や知識量は異なるため、全員に刺さるコンテンツの作成を目指すよりも、ターゲットを定め、誰に向けた企画なのかを意識し、必要な情報を過不足なく入れることが重要です。
具体的には、「新入社員をターゲットとして各部署を紹介するコンテンツを作る」「営業職をターゲットにして外回りでの便利グッズ特集を組む」というように、特定のターゲットに向けて内容の濃いコンテンツを作ると良いでしょう。
もちろん、幅広く全社員に伝えたいコンテンツもあると思います。その場合でも、さまざまな立場の社員がいることを想定しておくことは大切です。いろいろな立場の社員に目を通してもらえるよう、シンプルで分かりやすく、見やすい誌面作りを心掛ける必要があります。
2. コンテンツの目的を明確にする
社内報においては、コンテンツごとの目的も明確にしておきましょう。
コンテンツの目的とは、それを読んだ社員にどのようなアクションを起こしてほしいかということです。具体的な行動だけではなく、仕事におけるちょっとしたヒントである場合もあります。
ここで大事なことは、コンテンツのターゲットの目線に立って考えることです。自分がその立場だったらどのような情報が欲しいか、その情報を受け取ってどう感じるかということをイメージしながら記事の構想を膨らませていきましょう。
3. 情報はできる限りシンプルに伝える
コンテンツで伝えたいことを明確にしたら、次はそれをできる限りシンプルに伝えられるように工夫しましょう。
一つのコンテンツに情報を詰め込み過ぎると結論が埋もれてしまい、読み手に伝わらないコンテンツになってしまいます。ある程度コンテンツ制作が進んだ状態であっても、起承転結を考え、重複している部分や冗長になっている箇所は思い切って内容を取捨選択することも一つの手です。
また、言葉で伝えにくいものは、図版や現場写真、グラフやフローなどを用いるなど、何よりも「何を伝えたかったのか」を明確に伝えるために、余計な情報を削る、あるいは、別のデータに置き換えることでスッキリと読みやすくなり、相手に好感を与えるコンテンツになる可能性もあります。
4. 次回の作成に向けて改善点を洗い出す
コンテンツ掲載後は次回の作成に向けて改善点の洗い出しを行いましょう。
社内報は定期的に発行するものですので、都度改善・工夫を続けていくことが大切です。グループウェアのようなWeb媒体で掲載している場合であれば、解析ツールを用い、ページごとの閲覧数や滞在時間等のデータを取得しましょう。記事に「いいね」を付ける機能があれば、より直接的にコンテンツの評価を測ることができます。
冊子や新聞といった紙媒体に掲載している場合は、社内アンケートなどで感想をヒアリングするとよいでしょう。親しい同僚や同期の社員から感想を聞くという方法もあります。
社内報におすすめのネタをジャンルごとに紹介
定期的に発行される社内報だからこそ、毎回変化を付けてマンネリ化を防がなければなりません。仕事に直接関わるコンテンツばかりでは堅苦しい印象を与えてしまうため、適度にカジュアルコンテンツを挿入することも大切です。
ここでは社内報に使えるネタをジャンルごとに紹介します。コンテンツ制作のネタに迷った際はぜひ参考にしてください。
1. 季節に関するネタ
季節ネタは社内報の定番コンテンツです。年始の行事など会社に関わりの深いものでも良いですし、バレンタインやハロウィーン、クリスマスなどと関わりが深い企業もあるかもしれません。これらに関連する部署があれば社内報で取り上げて特集するという方法もあります。
【季節ネタの例】
- 4月…新生活お役立ち情報、お花見特集
- 5月…ゴールデンウイークの過ごし方、母の日特集
- 6月…快適な梅雨の過ごし方、父の日特集
- 7月…七夕特集、夏季休暇の過ごし方、福利厚生施設の紹介
- 8月…夏休み特集、熱中症対策
- 9月…秋の楽しみ方(食事や読書)、上期の振り返り
- 10月…ハロウィーン特集
- 11月…勤労感謝の日(経営陣から社員へメッセージ)
- 12月…クリスマス特集、年末年始のあいさつ
- 1月…新年のあいさつ
- 2月…バレンタイン特集、インフルエンザ予防特集
- 3月…ホワイトデー特集、花粉症対策、下期の振り返り
2. 時事関連やトレンド
季節ネタと並んでコンテンツを作りやすいものが、時事関連やトレンドネタです。カジュアルで分かりやすいことに加え、その年の世相が強く反映されるので、読み返したくなるコンテンツを作成することができます。
【時事関連・トレンドの例】
- 円安が会社に与える影響とは?
- ビジネスの場でのマスク着用方法
- 令和〇年流行ランキング
- 今どきのスーツ着こなし術
- 人気の在宅勤務グッズ特集
3. 社員や部署を紹介するネタ
社員紹介や部署紹介は社内報の定番ネタの一つです。特に社員数が多い場合、他部署の情報を知る機会が少ないので、社員同士のつながりを強化するという点でも重要な意味を持ちます。
コンテンツの内容としては特定の社員へのインタビューや一日密着取材、複数社員での対談など、さまざまな切り口が考えられます。趣味やプライベートでの過ごし方など、その社員の個性が垣間見える内容にすることで社員同士のコミュニケーションも生まれやすくなるでしょう。
【社員紹介・部署紹介の例】
- 活躍社員のインタビュー
- 社長・役員のインタビュー
- 注目社員の密着取材
- 今月のMVP発表
- 新入社員紹介
- 新任管理職の自己紹介
- 実力派社員の対談
- 有名リーダーの社内履歴書
- 成績優秀者に聞く仕事のコツ
- 話題の部署へ潜入取材
- 新規プロジェクトの注目ポイント
社内報での社員紹介については、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。
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4. 経営陣のメッセージや業績結果
社内報で経営理念や事業目的を伝えるのであれば、経営陣のメッセージや業績結果の掲載は欠かせません。社内報のメインコンテンツともいえる内容ですので、多くの社員に目を通してもらえるよう、掲載方法には工夫を凝らしましょう。
その他業績に関わる項目として、経済市場の動向や最新の業界ニュースなどがあります。社外の情報も、重要なトピックをまとめて掲載しておくのも良いでしょう。
【経営陣のメッセージ・業績結果の例】
- 経営トップのあいさつ
- 役員あいさつ
- 業績の結果報告(決算報告、事業計画、経営方針など)
- CSRに関する取り組み
- 市場の動向
- 業界ニュース
5. 福利厚生や社内外の施設紹介
新入社員が増える時期であれば、福利厚生や社内施設の紹介も有益なコンテンツになります。他にも、オフィス周辺でおすすめの飲食店などを紹介する記事も多くの社員の目に留まるでしょう。
【福利厚生や社内外施設紹介の例】
- 福利厚生制度の紹介
- 財形貯蓄制度の活用例
- 持株会の案内
- 社員が利用できる保養所の紹介
- オフィス周辺のおすすめランチの紹介
- 接待に使えるお店の紹介
6. 社内アンケート
社内アンケートを実施し、その結果を社内報で発表するというコンテンツの作成方法もあります。カジュアルなものから会社への改善提案まで、アンケートだけでもさまざまなコンテンツを作ることが可能です。
また、社員のリアルな声を集めることで、会社の課題を認識する手掛かりにもなるでしょう。
【社内アンケートの例】
- 会社への要望、改善点
- 社内の意識調査
- 開催してほしいセミナーの調査
- 社内報に対する意見・感想
- 社員の属性調査
- 社長に聞いてみたいこと
- 趣味・好きなもの調査
- 最近読んだ本
- おすすめの映画
7. その他
会社や社員に関わることなら自由にコンテンツにできるのが社内報です。社内外のイベントやセミナー、社員のクラブ活動など、あらゆる出来事に目を向けてコンテンツのネタを集めるようにしましょう。
【ネタになるイベントの例】
- 内定式・入社式
- 新入社員研修
- 社員旅行
- セミナー・講習会
- 社外イベントのレポート
- クラブ活動
社内報のネタ・テーマの探し方
上記で社内報に使えるネタをジャンルごとにお伝えしましたが、どうしてもマンネリ化してしまったり、自社の社内報に合うネタが思いつかないという場合もあると思います。ここではそんなときのために、社内報のネタ・テーマの探し方をお伝えします。
1. ネットのトレンド情報を参考にする
ニュースやSNSなど、インターネット上では日々新しい情報が生まれています。そうした情報源からトレンドをつかみ、自社に関連しそうなものはないか、企画を考えてみるのも一つの方法です。
例えば法律の改訂や経済のニュースなどから、マクロな外部環境の変化が自社の経営にどういう影響を及ぼすのかを解説してみる企画、SNSでたくさんの「いいね!」が集まっている話題をヒントに、共感の輪が広がるような活動を自社内でしている人を紹介する、という企画も考えられます。ネットのトレンドを情報源に、自社に合う形にアレンジしてみましょう。
2. 過去の人気記事を分析する
歴史のある社内報なら、バックナンバーがネタを考えるヒントになります。切り口を変えれば人気企画が生まれる可能性があります。また、Web社内報であれば、閲覧数や「いいね」の数などのデータを基に、人気記事の共通点を探ってみるのがよいでしょう。「たくさん写真が使われている」「社員のプライベートな情報が人気」など傾向をつかみ、そこから新しい企画を考えることができます。
3.「社内報アワード」や『社内報白書』「社内報ナビ」を参考にする
「自社だけでなく、他社の社内報を参考にしたい」と考える社内報担当者は多いと思います。ウィズワークス株式会社が毎年主催している、全国規模の社内報企画コンクール&表彰イベント「社内報アワード」への参加は、他社の取り組みを知るとてもよい機会になります。また、同社の社内報総合研究所が発行する『社内報白書』は、社内報のトレンドを知るうえで有効な情報源です。
もっと簡単に社内報のネタ・テーマを探すには、「社内報ナビ」もおすすめです。社内報ナビでは、社内報担当者のスキルアップにつながるコラムが多数更新されています。ネタ、企画に関する記事も多いので、ぜひ参考にしてみてください。
4. 社内で相談してみる
それでも悩んだら、思い切って社内に相談してみるのも手です。アンケートをとって企画を募集するのもよいでしょう。
ただ、漠然と「企画募集」と回答を募っても、誰しもすぐに思いつかず、答えにくいものです。どのような企画だったら興味があるか、企画をジャンルに分けて選択式にするなど、回答しやすい工夫をする必要があります。媒体の主なターゲットとなる社員だけに集中的に回答をお願いしたり、モニター制度を採用したりするなど、社内をうまく巻き込むことも検討しましょう。
※参考:この工夫が効いた! 読者アンケート 高回収率を実現した3事例
社員の目線で「読まれる社内報」を作成しよう
社内報は経営理念を明確化し、社員のモチベーションを向上させるためのツールです。コンテンツのネタは多岐にわたりますが、大切なことは「誰にどのようなアクションを起こしてほしいのか」というビジョンを持つことです。
集めたネタをただ記事にするのではなく、社員の目線で有益な情報となるようにコンテンツを作成しましょう。
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