メンバーのモチベーションが低い、人材が育たず離職率が高いといった問題は、組織活性化で改善が可能です。
この記事では、組織活性化の基本的な考え方や、効果的な取り組み方法について、順を追って分かりやすく解説しています。
目次
組織活性化とは
組織活性化ができている状態とは、所属メンバーが主体的に各自の業務に取り組み、組織全体として日々目標に向かって前進している状態を指します。同時に、入社年次や職種、役職、雇用形態にとらわれることなく、メンバー同士が自由闊達にコミュニケーションを取っていることも特徴です。
組織が活性化している状態では、各々の立場に関係なく、企業・部署としてのビジョンや目標をメンバー間で常に共有できます。業務を進める上で必要な情報共有やコミュニケーションが自然と取れる環境が整っているため、働きやすい環境ともいえるでしょう。
組織活性化が必要な3つの理由
組織活性化が必要とされる3つの理由を解説します。
1. メンバーが日々やりがいを感じて働けるようにするため
昨今の企業活動においては、組織内の業務が細分化・分業化されていることが一般的です。あらゆる業態でのIT化の進展も、これに拍車をかけています。
各々が受け持つ業務の範囲が明確になり、専任制が一般的になった反面、結果的に「自分の担当業務だけこなせば良い」「自身に課された数値目標のみクリアしておけば問題ない」という意識も生まれてしまいました。
そのため、組織・チームとしての全体最適を意識した業務効率化を進めたり、新規事業のアイデアを検討・提案するといった建設的な業務にメンバーの意識が向きづらくなっています。
組織活性化を通して、各々のメンバーがやりがいを持って業務に取り組める、職場づくりをする必要があります。
2.コミュニケーションギャップ・不足を解消するため
企業内におけるIT化の急速な進展により、かつてよりもメンバー間のコミュニケーションが容易になったと思われがちです。ところが、実際のところ相互理解の基本であるフェイス・トゥ・フェイスの対面コミュニケーションは、明らかに減ってきています。
とりわけ、新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅勤務が広く普及し、この傾向に一層拍車をかけているのが現実です。
組織内のコミュニケーションギャップ・不足が生じると、精神的に孤立するメンバーもいます。組織・チームへの帰属意識が薄れ、他のメンバーとの一体感も消えてしまい、自ずと業務がつまらないものに感じられるようになってきます。
組織の活性化を進めることで、このコミュニケーションギャップ・不足の解消が可能です。
3. 人材を育て離職率を下げるため
組織内のメンバーが日々やりがいを感じず、つまらない業務を時間内だけ無難にこなせば良いというような考えを抱いている場合、ネガティブな空気感は確実に周囲に伝播するものです。
このような空気感の職場では、向上心が高いメンバーほど、自ら成長できない環境に危機感を覚えるでしょう。人材として成長する前に転職を視野に入れる人が増え、社員が定着しない組織になってしまいます。
組織活性化ができている職場ほど人材が育ち、離職率も低いことが定石です。
組織活性化できている企業の4つの特徴
組織が活性化している企業の特徴とは、具体的にどのようなものでしょうか。前述した組織活性化の必要性を踏まえてご紹介します。
1. 組織内での自由闊達なコミュニケーションが浸透
活性化した組織ほど、自由闊達なコミュニケーションが浸透しています。経営層や役職者からの一方的な指示で仕事を進めるのではなく、各々が立場やバックグラウンドにとらわれずに、自然体で活発に意見交換を行っています。
また、同じ組織内に限定されることもなく、部局や役職を超えたコミュニケーションも常態化しているものです。若手社員から経営層に直接意見を伝えることもめずらしくなく、むしろ歓迎される傾向です。
社内コミュニケーションを活性化させる方法については、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
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2.経営層と一般メンバーが経営理念やビジョンを共有
各メンバーがどのようなビジョン・考え方を持って業務に取り組んでいるかという観点は経営として大切です。ところが、経営層の抱くものと異なっていたのでは、組織としての目標達成はおぼつかなくなってしまいます。
組織活性化に必要不可欠なのは、経営層とその他のメンバーが明確な経営理念・ビジョンを共有している状態です。逆に言えば、組織の活性化がうまくいっていない企業ほど、経営層と一般メンバーとが違った方向を向いている傾向が強いため、改善が必要といえるでしょう。
経営理念を浸透させる方法については、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。
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経営理念を浸透させるには? 社内で浸透しない原因と成功させるポイント
3. 各メンバーが主体的・能動的に業務に取り組む
組織活性化している企業では、一人ひとりが主体性を持って業務に取り組んでいます。「指示されたことだけ要領良くやっていれば問題ない」「拘束時間内のみ無難にこなしておけば良い」といった受動的な姿勢で各々が業務を行っている場合、自ずと生産性は低くなり、本人の成長も難しいでしょう。
自身が担う業務の目的を理解せず、目の前の指示に従うだけの姿勢でいれば、組織の活性化は不可能です。
各メンバーが能動的な姿勢で業務に臨むと、主体性が育まれ、業務フロー改善や新規事業のアイデアが図らずも生まれたりします。またお互い自発的に、スムーズに協働するようになるため、組織として生産性が高いことも特徴です。
4. 各メンバーのモチベーションとモラルが高い
会社員としてのモチベーションとは、「組織の目標を達成するために貢献したい」「組織プレーを通じて自身を高めて成長させたい」といった強い欲求でしょう。組織活性化した職場ほど、目標達成のために自身が担う役割を果たそうという強い気持ちを各々が抱いており、モチベーションの高さが特徴的です。
同時に各メンバーのモラルが高いことも特筆されます。頑張る仲間の足を引っ張るわけにはいかない、先輩たちが築いてくれた会社への信頼を損ないたくないという気持ちが自らを律するのです。組織・チームとしての士気も高くなります。
組織活性化で得られる4つの効果
組織活性化が達成されると、社員や会社全体によい影響を与え、効果が生まれます。今回は組織活性化による4つの効果を紹介します。
従業員エンゲージメントの向上
エンゲージメント向上には、会社の向かう方向性を理解した上で主体的に働ける環境、同僚や上司との良い関係性が重要です。組織活性化によってそれらが実現すると、会社や仕事への満足度が上がり、従業員エンゲージメントが高まります。従業員エンゲージメントについては、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。
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従業員エンゲージメントとは?必要性や高めるメリット、ポイントを解説
離職率の低下
エンゲージメントの高い状態で働く社員が増えると、会社への定着率が上がり、離職率は下がります。組織活性化を通じて、仕事へのやりがいや他社とのつながりを感じられる環境を目指しましょう。
人材の成長
社員がやりがいを持って長く働けるようになると、学びや気付きが増え、新たな成長につながります。自らスキルアップに取り組むようになったり、同僚や上司とのノウハウ共有によって能力を開花させたりできるでしょう。
会社の事業成長
人材が成長すると、既存事業の売上向上や新規事業への挑戦もしやすくなり、会社全体の事業成長も期待できます。一人ひとりの成長を支援し、会社全体の成長を目指しましょう。
組織活性化に取り組む5つの方法とは
組織活性化のための具体的な取り組みを紹介します。
取り組みの前提として、メンバー各々に「社会的使命感」を持ってもらうことが必要になります。「自身が担う業務は会社にとってどのような意味があるのか」「社会にどのような影響を与えるのか」「自身の将来にどのように関わってくるのか」などを理解してもらうことが大切です。
1. アチーブメント(達成)ミーティングを実施
「社会的使命感」の醸成に有効な手法となります。個人的な目標から企業・組織(チーム)としてのビジョンに至るまで、遠慮なく話し合う場です。
半年に1回ほどのペースで、チームメンバー全員でビジョンを語り合うと良いでしょう。企業やチームの目標について自由に語り合った後、各々の目標を話した方が、話が収束しやすく効果的です。組織のビジョンと個人の目標とを同一ライン上に置けると、メンバーのモチベーションアップに極めて有効です。
また、上長・リーダーにとっては、メンバーの適材適所を見極める絶好の機会です。意見交換した内容は、必ず記録に残し、時々振り返って確認すると良いでしょう。
2. 上長面談+他部局・他職能の管理職面談を実施
各メンバーと上長との一般的な定期面談に加え、他部局・他職能の管理職との面談を少なくとも1カ月に1回程度実施するというものです。直属の上長との面談と同様、1回30分程度で想定されます。
内容は仕事やそれ以外で困っていること、悩んでいること、組織の目標と自身の目標、上長との関係などで、自由に語り合えることがポイントです。いつもとは違う目線からのアドバイスを受けられる、職域・職制を超えたメンターができる、他部局の業務への理解が深まる、自身が所属する組織を客観視できるなど、メリットも多くあります。
自部署の縦軸のつながりに加えて、他部局・他職能の管理職という斜め軸のネットワークが社内に構築され、組織横断的なコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。
3. 職場の懇親会を開催
懇親会の開催は、組織内のコミュニケーションを活発化させるのに効果的です。幹事は持ち回りとし、中堅メンバーと若手メンバーがペアになり、協議しながら担当すると良いでしょう。
ただ集まって食事をするだけでは、組織活性化を狙うには不十分です。職場懇親会を組織のモチベーションを上げる機会と位置付け、成果を上げたり、果敢にチャレンジしたりしたチームやメンバーを称える場、得られた情報・教訓を共有できる場にすることをおすすめします。
参加者の負荷が高まらないよう、2カ月に1回程度、四半期ごとなどの開催が良いでしょう。
4. マルチ担当制を導入
マルチ担当制とは、各メンバーが複数の部門(業務ではない)を担当することです。もしくはある業務に対して、複数の担当者をアサインすることとも言えます。
複数部門を担当することで、メンバー各々が職種の枠を越えて、全社を俯瞰する視点を身に付けることができます。協働意識が芽生え、社内コミュニケーションがおのずと活発になるため、組織活性化が期待できるでしょう。
ただし現在では、組織内の人員削減が進み、専任制を採る企業が多数派です。また、複数の業務を1人でこなそうとすると少なからず負担がかかります。一部メンバーから試験的にマルチ担当制へ移行し、導入が適切か否かを判断するのも良いでしょう。
5. ITシステムを活用
組織活性化のためには、ITシステムの有効活用も必須です。職場として、メールやオフィスツール、Web社内報などを効果的に活用できているのか、今一度確認してみましょう。
ITシステムはコミュニケーションツールであり、IT系企業の従業員であってもシステムを使いこなせないことは往々にしてあります。組織として活用状態を確認するために、ITシステム活用の推進担当者を正式に任命したり、部署内で有効活用できているか確認したりといった工夫をすると良いでしょう。
組織活性化の成功事例
ここからは、組織活性化に成功している会社事例を紹介します。
カルビー株式会社(フリーアドレス制度の導入)
組織活性化の手法として、社内のデスクやオフィスでの作業場所を固定せず、自分の席を自由に決められる「フリーアドレス制度」があります。毎日違う場所で仕事をすることで、周囲の環境も接する相手もさまざまになるため、部門やチームの垣根を超えたつながりが生まれるのがメリットです。しかし、「結局いつも同じ席に座ってしまう」という状況が生じることもあります。
カルビーのフリーアドレス制では、この状況を打破するため、「ダーツシステム」を採用。毎日コンピューターがランダムに社員の席を決定して、社員はその席で仕事をします。これは経営層も同様で、場合によっては社長と新入社員が隣同士で仕事することも。一歩踏み込んだフリーアドレス方式として、他社からも注目されています。
株式会社サイバーエージェント(チャットツールの導入)
個人で利用されることが多いチャットツールをビジネスにも活用し、組織活性化に成功している企業もあります。
インターネット広告事業を展開する株式会社サイバーエージェントは、メールよりも気軽にコミュニケーションできるツールとしてビジネスチャットを採用。これにより、社員間のコミュニケーションが活発化しただけでなく、顧客を中心とした子会社・関連会社などグループ全体でのプロジェクト推進や、事業本部全体で一月あたり25,000時間以上の業務効率化にもつながっているそうです。
サカタのタネ(Web社内報の活用)
種子・苗木・球根・農園芸用品の生産・販売を行う株式会社サカタのタネでは、Web社内報を通じた組織活性化を進めています。
同社は、170カ国以上で事業を展開する、国際性豊かな会社です。2021年5月、それまでPDFで発行していたグローバル報をWeb化したところ、国も文化も違う社員同士がコメントを投稿し合ったり、各国の活動がリアルタイムで共有されたりと、組織内コミュニケーションが活発になりました。
中でも、世界各国の社員がお気に入りの写真や趣味の写真を投稿する企画が大人気で、記事のコメント欄では同じ趣味を持つ人が楽しく会話を繰り広げているそうです。また、各部署から業務ノウハウの共有につながる記事が投稿されたり、社長メッセージを動画で配信したりと、Web社内報が組織の一体感の醸成や理念浸透に役立てられています。
※参照:趣味の写真から業務ノウハウまで!各国から投稿が相次ぐ、双方向型グローバル社内報ができるまで
組織活性化こそが生産性向上への近道
組織の活性化は生産性の向上に直結します。有効な取り組みを行うためには組織内でコミュニケーションがしっかりとれているか、経営理念やビジョンを共有しているかなどポイントを押さえて改善する必要があります。
もし、コミュニケーションやビジョンの共有などに問題があるようであれば、改善策を打たなければなりません。社内報を導入するのであれば、ウィズワークスの「社内報アプリ」がおすすめです。企業全体に知ってもらいたいことや部署内のコンテンツを社内報で紹介することで、各々が組織に関する理解を深め、組織活性化が進みやすくなるでしょう。機能や利用方法など、詳しい内容は「資料請求」ページからお気軽にお問い合わせください。